【七夕賞】内田魔術!アスカクリチャン大波乱!

[ 2012年7月9日 06:00 ]

<七夕賞>大外強襲のトーセンラー(右)を抑えてレースを制した(6)アスカクリチャン

 夏を彩る名物ハンデ重賞「第48回七夕賞」が福島競馬場で行われ、6番手を進んだ14番人気の伏兵アスカクリチャンがトーセンラーの強襲を鼻差退けて重賞初制覇。内田博幸騎手(41)は同馬初騎乗でVに導き、3連単59万1030円、WIN5は1億円オーバーという夢配当の立役者となった。

【レース結果】

 これぞ福島の七夕賞。破天荒な結末に1万6000人の観衆が沸いた。原動力は14番人気の超伏兵アスカクリチャンを優勝に導いた内田の巧腕だ。

 好スタートから道中は6番手で折り合い、脚を温存。直線を向くと、すかさず右ムチ2発!!前を行くミキノバンジョー、ケイアイドウソジンをまず料理。返す刀で大外を強襲したトーセンラーを鼻差退けたところがゴールだった。3連単59万円、WIN5は1億円超え。夢配当が続けざまにターフビジョンに大映しになると、どよめきが起こった。

 内田は今年重賞3勝目。ゴールドシップで制した2月の共同通信杯、4月の皐月賞に続き、全て須貝厩舎の所属馬だ。内田は「道中は後ろ過ぎないように気をつけ、イメージ通りに先行グループに付けられた。3、4コーナーの手応えも抜群。追ってからよく伸びてくれた。有力馬(トーセンラー)にかわされたと思ったが、馬が底力で頑張ってくれた。僕自身、久々の重賞でうれしい」と笑顔で答えた。

 須貝師はしてやったりの表情。従来のマイル路線では追走に四苦八苦と分析。2月の東京新聞杯10着後は連戦の疲れを放牧でしっかり取り、中距離路線へのモデルチェンジを狙っていた。「マイルだと、どうしても後ろからになる。ちょうど状態が整ったところに、サマー2000シリーズがあった。長くいい脚を使える持ち味を内田君が生かしてくれた」

 須貝師の今年重賞4勝中、3勝が内田とのコンビ。「好相性?内田君からもそう言われたよ。こういう縁は大事にしないと。これで王者の権利の1つは獲れたので、次走はジョッキーと相談したい。結果を出したい」と指揮官。今春、クラシックを沸かせた名コンビが、今度は夏の大暴れを誓う。七夕賞らしい夢配当を提供した内田は「福島はまだ復興の最中。僕自身もケガで乗れない時期はあったが、最後にここで重賞を勝ててうれしい」と大声援を送る福島ファンに感謝していた。

 ◆アスカクリチャン 父スターリングローズ 母ローレルワルツ(母の父ダイナレター)牡5歳 栗東・須貝厩舎所属 馬主・上野武氏 生産者・北海道新冠町つつみ牧場 戦績25戦6勝 獲得賞金1億2872万4000円。

 ▽サマー2000シリーズ 七夕賞、函館記念(15日)、小倉記念(8月5日)、札幌記念(8月19日)、新潟記念(9月2日)の芝2000メートルの重賞5戦が対象。G3は1着10ポイント、2着5ポイント、3着4ポイント、4着3ポイント、5着2ポイント、6着以下1ポイント。G2の札幌記念は1着12ポイント、2着6ポイント、3着5ポイント、4着4ポイント、5着3ポイント、6着以下1ポイント。「13ポイント以上、かつシリーズレースで1勝以上」の馬の中から、ポイント最上位がチャンピオンとなる。チャンピオンの馬主に3200万円、厩舎関係者に800万円の褒賞金が贈られる。

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