【ヴィクトリアM】よみがえれ5冠馬!絞ってアパパネ

[ 2012年5月10日 06:00 ]

<ヴィクトリアM>蛯名を背に意欲的に追い切ったアパパネ

 G1「第7回ヴィクトリアマイル」の追い切りが9日、美浦、栗東両トレセンで行われ、アパパネが連覇へ大変身をアピールした。5連敗中のトンネルから抜け出す勝負手は太め解消の猛調教。迫力満点の伸び脚できっちり応え、復活ののろしを挙げた。一方、昨年の桜花賞馬マルセリーナもさらなる上昇ぶりを示す走りだ。

 スランプ脱出へ、アパパネに課されたのは牡馬もたじろぐ猛調教だ。主戦・蛯名を背に北C(ダート)コースで7Fからピッチを上げる。およそ15馬身先行したサイレントメロディ(5歳オープン)に4コーナーで並びかけた。直線入り口で外から1馬身抜け出すと、蛯名のムチが容赦なく飛ぶ。3馬身差をつけてゴール。「7Fから追い切るなんて最近では珍しい」の声が調教スタンドに飛び交うなかで、94秒9、ラスト3F37秒7~1F12秒1を計時した。

 「これまでよりはるかにきつい調教。1週前追い切りでも攻めに攻めたから、並足でも“ビリビリ”した気配が伝わってくる。きょうの追い切りでも反応良く抜け出してくれた」。引き揚げてきた蛯名は変身ぶりを強調する。「もともと叩き良化型。1度使えば戦闘モードに入るタイプだが、今回は調教でも負荷をかけたのでそんな雰囲気になっている」と続けた。

 猛調教の狙いは太め解消だ。アパパネの牝馬3冠優勝時の体重は桜花賞480キロ、オークス470キロ、秋華賞490キロ。前年のヴィクトリアマイルも490キロで制したが、それ以降490キロ台後半から500キロ超で出走し5連敗。休養明けの前走・阪神牝馬Sはデビュー最高体重となる504キロで7着に敗れた。

 「最近は落ち着き過ぎて腹回りが立派になっている。細くなればもっと動ける」(蛯名)との判断から、2日の1週前追い切りでもステッキを入れて北Cコース6F82秒0のハード調教。背中には汗取りを着け、馬房でおやつ代わりにしないよう寝わらも取り払った。

 「まだ完全とは言えないが、これでもうひと絞りできるはず」と言う同騎手の傍らでは国枝師が愛馬に満足げな視線を送る。「見た目はこれでいい。レースでは490キロ台の半ばになるだろう」とシェイプアップ作戦に自信を持っている。

 「あとは目覚めたもの(闘志)をラストで爆発させるだけ。昨年は凄い馬を破っているし地力には胸を張れる」と蛯名はブエナビスタを首差抑えた昨年の走りを引き出すつもりだ。国枝師も「(競走生活)ラスト1年なので、もう後がない。ここで格好をつけないと秋のエリザベス女王杯で牝馬全冠(6冠)制覇なんて言ってられない」と必勝の構えで6度目のG1獲りに向かう。

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2012年5月10日のニュース