福島 復旧工事完了!4月7日 503日ぶり開催

[ 2012年3月27日 06:00 ]

線量計で芝コースの放射線を測定、福島競馬場の安全をアピールする横山典騎手

福島競馬 4・7再開

 JRAは26日、東日本大震災被災からの復旧工事が完了し、4月7日に再開する福島競馬場の内覧会を実施した。横山典弘騎手(44)らジョッキー7人が参加して復旧したスタンド、張り替えた芝コースなどを見学。「安全」を確認するとともに、開催に向けて「安心」をアピールした。

 「安心と安全」をコンセプトに、福島競馬場の復旧工事(総額約42億円)が完了した。福島競馬場の時任場長は「お客さまに安心して競馬を見てもらえるように、そして競馬関係者に安心してレースに出走してもらえる環境は整いました」と宣言。万全の態勢で、2010年11月21日以来、503日ぶりの開催を迎えることを強調した。

 東日本大震災により、特にスタンド上層階は、天井が崩落するなど被害が大きかった。都田施設整備課長は「同程度の地震が来ても落下しないように」と徹底して耐震強度を高めた。5階中央棟ファンエリアの崩落については調査の結果、ボルト関係の破断が原因と判明。天井内に新たに鉄骨を組んで重量物を固定した。同じ5階中央棟座席部の天井内部には新たに斜めに鉄骨を入れて強度を高めた。

 競馬場から福島第1原子力発電所までは約62キロ。県外から来場するファンにとって放射能問題は気になる要素。これには昨年6月から場内の敷地39万平方メートルのうち、約3分の2の24万平方メートルの除染に取り組んだ。ファンエリアは高圧洗浄で放射線量を低減。レースで使用する芝コースは内ラチから10メートルを全周張り替え、ダートコースは厚さ9センチのクッション砂を全て入れ替えた。

 馬場内投票所限定で発売が再開された昨年6月25日の馬場内広場中央部の放射線量は、毎時3・37マイクロシーベルトだったが、今月15日には毎時0・16マイクロシーベルトまで下がった。昨秋に福島市は今後2年間で地表から1メートルの空間放射線量を市内全域で1マイクロシーベルト以下にするという除染計画を発表。その数値と比較しても競馬場内はかなり低い値まで落とすことに成功したと言える。今開催のテーマは「再開そして再会」。地元ファンのみならず、全国のファンが福島で競馬と再会する。競馬再開が被災地の活性化につながる大きな一歩となる。

 ▽放射線量の人体への影響 年間に自然に浴びる放射線量は1ミリシーベルト(1000マイクロシーベルト)が限度とされる。胸のエックス線検査は毎時50マイクロシーベルト。100ミリシーベルト(10万マイクロシーベルト)の被ばくで将来がんになる危険性が0・5%高まり、500ミリシーベルトでリンパ球が減少。1シーベルト(100万マイクロシーベルト)で1割の人が吐き気などを訴え、4シーベルトで半数の人が30日以内に死亡するとされる。

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