【ヤンググランプリ】“怪物”深谷、快足先行!

[ 2010年12月28日 06:00 ]

検車場で自転車を運ぶ深谷

 「KEIRINグランプリ2010」(30日、立川)に先立ち、新人No・1決定戦「ヤンググランプリ2010」が28日、立川競輪場で開催される。07年7月以降にデビューした新人の中から選出された9選手による一発勝負。大激戦が予想されるが、デビュー史上最速でのS級昇級を決めた深谷知広(20=愛知)が快足先行でニューヒーローの座を目指す。

 ヤンググランプリは次代のスター候補が文字通り若い力、スピードをぶつけ合う一発勝負で行われる。
 9選手の中で最年少、1990年(平2)生まれの深谷にはニューヒーロー誕生の予感が漂う。高校時代から自転車競技で活躍、競輪学校も在校成績第2位で卒業した逸材は09年7月22日にプロデビューすると一気に素質を開花させた。
 無傷の18連勝でのS級特別昇級に要した56日は史上最速記録(08年1月のチャレンジレース導入以降)。またS級初出走となった11月の大垣競輪では初日予選で史上最速(113日)のS級初勝利を飾った。デビュー以来の連勝は20でストップしたが、“凄い新人がデビューした”と深谷の名前はファンに瞬く間に知れ渡った。
 それでももの静かな深谷は浮かれることなく「自分はまだまだです。後ろについてくれる選手に信頼される先行選手になることが目標です。一生懸命練習するだけです」。ひたすらペダルを踏み続けた。
 G1レース初出場は今年6月の高松宮記念杯で、12月の競輪祭まで4回出場した。中でも圧巻は競輪祭。競輪での逃げ切りは最もシンプルで最も難しい戦法。しかし深谷はすべて先行で戦い、G1初の決勝戦進出を決めた。特に準決勝は上がりタイム(残り半周=200メートル)11秒3の好タイムで格上の村上博幸(30日のグランプリ出場)らを振り切った。「先行して力を出し切れたのでレース内容に満足しています」。深谷の走りがG1決勝戦の流れを左右することを印象づけたシリーズだった。
 19日に佐世保記念競輪を走り終えた後は「体を休めた後に競輪学校(静岡・伊豆市)で23日から3日間練習。寒くて風が強い中で練習したけど感触は悪くなかった」と体調面に不安はない。決戦を前に「一発勝負は嫌いでない。作戦は特にないが、その場の流れで行ける位置から自分の力を出し切りたい」と気負いもない。深谷は自分の力を信じて若手の登竜門・ヤンググランプリ優勝を目指す。

 ◆深谷 知広(ふかや・ともひろ)1990年(平2)1月3日生まれの20歳。愛知県出身。桜丘高卒。09年7月プロデビュー。通算成績は108戦62勝、2着11回、3着8回。高校時代には07年第62回国体スプリント、08年第15回アジアジュニア選手権大会スプリント・ケイリン・チームスプリントで優勝。師匠は金子貴志(35=愛知)。座右の銘は平常心。1メートル60、77キロ。太腿62センチ。血液型B。

 ▼ヤンググランプリ 新人レーサーの日本一を決めるレース。01年からG2に格付けされ、一発勝負で争われている。今年の選考対象は92~98期の若手選手(07年7月デビュー以降)。開催時にS級に在籍する今年1~9月の平均競走得点上位者から順に選抜される。若手選手の登竜門として注目度の高いレースで、過去に優勝した海老根恵太(04年)、山崎芳仁(05年)はG1タイトルホルダーにまで上り詰めた。

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2010年12月28日のニュース