【有馬記念】1着ヴィクトワールピサ

[ 2010年12月27日 06:00 ]

有馬記念を制したヴィクトワールピサ(左)。写真判定で勝利が確定しガッツポーズをするデムーロ

 皐月賞馬が栄光の舞台で完全復活。今年の中央競馬を締めくくる「第55回有馬記念」が26日、中山競馬場で行われた。2番人気のヴィクトワールピサが、ゴール前の大激戦を制して優勝。ミルコ・デムーロ騎手(31=イタリア)、角居勝彦師(46)ともにグランプリ初Vを飾った。G1・6勝目を狙った女王ブエナビスタは猛然と追い込んだが、鼻差及ばず2着。3着にはウィリアムズ騎乗のトゥザグローリーが入り、外国人騎手が1~3着を独占した。

 6分間の長い写真判定。検量室の静寂を突き破ったのは、ヴィクトワールピサの勝利を告げるデムーロの雄叫びだった。内外離れてはいたが、女王ブエナビスタと鼻面を並べて飛び込んだゴール。勢いは外のブエナだったが、最後の死力を振り絞ったヴィクトワールの鼻が、わずか2センチだけ前に出ていた。
 敗北を悟り、落胆の表情を浮かべたスミヨンとも抱擁を交わして互いの健闘を称え合ったデムーロ。感極まった。お立ち台に促されると涙声で切りだした。「ゴールは自分の馬の方が頭を下げていると思ったが、どちらが勝ったか分からなかった。判定を待つ時間が凄く長く感じた。本当にファンタスティックホースだ」
 レース運びは完璧だった。序盤は好位4番手をキープ。最内1番枠を生かし、内ラチ沿いの最短コースで折り合いに専念する。勝負を分けたのは向正面での判断。すぐ後ろのルーラーシップが外から掛かり気味に並んできたタイミングで一気に加速。「後ろから馬が来るのが見えたので、包まれるのは嫌だと思って早めに動いた」。トーセンジョーダンと先頭を併走する形で4角へ。直線坂下で抜け出すと、外から追いすがるトゥザグローリーを競り落とし、さらに大外から牙をむいたブエナの剛脚を何とかしのぎ切った。
 表彰式でプレゼンターを務めた横綱・白鵬に抱きかかえられ、いつもの人懐っこい笑顔を取り戻したデムーロ。「ダービー、ジャパンCと勝たせてもらい、あとは有馬記念だけと思っていたので夢がかなった」。自身が騎乗して03年ダービーを制したネオユニヴァースの産駒。「ネオがクリスマスプレゼントをくれたね」と話すと、スタンドを埋め尽くした12万大観衆に向け、両手を突き上げて喜びを爆発させた。
 角居師にとっても大きな1勝だった。「いい判断だった。たくさんVTRを見て研究した成果が出ていた」。まずは好騎乗を評価すると、しみじみと続けた。「今年はウオッカ、カネヒキリが引退し、厩舎の核になる馬を育てなければと思っていたが、しっかり引き継いでくれた。海外遠征を経験して精神的に強くなった。可愛い子に旅をさせたかいがありました」
 来年は海外でさらなる飛躍を狙う。「3月(26日)のドバイ(ワールドC、デューティーフリー)に登録し、その後の香港(クイーンエリザベス2世C)も選択肢」と角居師。その先には凱旋門賞への再挑戦。ブエナを破り、国内最強の座を勝ち取ったヴィクトワールの野望は果てしなく続く。

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2010年12月27日のニュース