ブエナ勝負服盗みネット出品…パート店員男を逮捕

[ 2010年1月7日 06:00 ]

昨年3月のチューリップ賞で優勝したブエナビスタをねぎらう鞍上の安藤勝己騎手

 安藤勝己騎手(49)が着用していた勝負服(3万円相当)を盗んだとして滋賀県警草津署は6日、窃盗容疑で名古屋市名東区の男を逮捕した。勝負服はインターネットのオークションに出品され13万円で落札されたが、落札者が再出品したことで発覚。最終的に20万円の値が付いた。

 逮捕されたのはパート店員石沢雄一容疑者(39)。
 逮捕容疑は、09年4月下旬、京都市伏見区の京都競馬場で、日本中央競馬会(JRA)の松田博資(ひろよし)調教師(63)が所有する勝負服1着を盗んだ疑い。
 草津署によると、この勝負服は牝馬クラシック2冠のブエナビスタが昨年3月のチューリップ賞(G3)で優勝した際に、安藤騎手が着ていた物で、馬主がブエナビスタを管理する松田調教師に贈っていた。
 石沢容疑者は昨年4月、勝負服をネットのオークションに「ブエナビスタの騎手が着ていた服」と明記し出品。13万円で落札した大阪市の男性が同6月に再び出品し、佐賀県の男性が20万円で落札した。2回目の出品で松田調教師が気付き、同7月に草津署に届けた。同調教師は勝負服の盗難に気が付かなかったという。
 石沢容疑者は競馬好きで、京都競馬場にもたびたび足を運んでいた。調べに対し「売るために盗んだ」と容疑を認めている。「当日レースがすべて終わった後に忍び込んだ。どの部屋から盗んだかは分からない」などとも話しているという。
 松田調教師は、07年の年度代表馬アドマイヤムーンを管理するなど、G1・12勝を挙げている。関係者によると、中央競馬で使用された勝負服は市場に出回ることはめったになく、ファンにとっては垂ぜんの逸品だという。捜査関係者は「競馬好きだけに勝負服の価値を十分に知っての犯行だろう。行き過ぎたファンにも困ったものだ」とあきれ顔だった。
 ◆勝負服 レースの時に騎手が着用する上着のこと。中央競馬では馬主ごとに、地方競馬では騎手ごとにデザインが決められている。中央ではデザインに関して競馬施行規程に定められてあり、色は白、黒、赤、青、黄、緑、桃、水色、紫、薄紫、ネズミ、エビ茶、茶の13色。胴と袖それぞれに地色と模様に1色ずつ、計4色まで使用できる。柄に関しては胴は一本輪、襷(たすき)など24種類から、袖も18種類からそれぞれ1種類使用する。素材は伸縮性のある特殊な素材でできた糸を使用したエアロタイプと、サテン生地からできているサテンタイプがあり、現在はより体にフィットし風の抵抗が少ないエアロタイプが主流。騎手によっては馬主の許可を得てさらに特別注文のものを着用することもある。管理は中央では調教師が馬主に代わって行い、レース当日は検量室に置き騎手に渡すことになっている。1着約3万円が相場。

続きを表示

2010年1月7日のニュース