【オークス】1着ブエナビスタ

[ 2009年5月25日 06:00 ]

ゴール後、笑顔で言葉を交わすブエナビスタの安藤勝己騎手(左)とレッドディザイアの四位 洋文騎手
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 次は世界制覇だ!第70回オークスは1番人気ブエナビスタがケタ違いの末脚を発揮し、先に抜け出したレッドディザイアに鼻差勝ち。これで桜花賞に続く牝馬2冠、阪神JFからG1・3連勝を達成した。秋は世界最高峰レース・凱旋門賞(10月4日、ロンシャン芝2400メートル)を目指す。

 着差は、わずか鼻差でも圧倒的な勝利だ。直線、後方に置かれたままのブエナビスタの姿にスタンドがどよめいた。“いくらなんでも届かない…”。先に抜け出したレッドディザイアの完全な勝ちパターン。それが、直線半ばで楽に5馬身以上はあった差を、最後の最後でひっくり返したのだ。
 安藤勝は苦笑いで振り返った。「失敗したなと…。内に行くか外に行くか迷って仕掛けが遅れて。いいレースではなかったけど、勝てて良かったよ」。先週から東京は圧倒的にイン有利。「外は芝が長くて空回りする感じ」。そこでスキあらば内への進路取りを試みたが、失敗。やむなく馬群の大外へと持ち出した。「相手は馬場の一番いいところを通っている。ひょっとしたら届かないかな…」
 あきらめずに猛追したが、ゴールでの大勢は微妙。ウイニングランをする状況ではなかった。「勝ったかどうかも分からなかった。自信がないからいいやと思って。馬場内の職員さんから“優勢だよ”って聞かされた」。ようやく安藤勝の右手が上がったのは、掲示板で着順を確認後。口取りではG1・3連勝を表し、指3本を突き上げた。次週ダービーはフィフスペトルに騎乗。「思い切って乗る」。人気のプレッシャーから解放されG1連勝を狙う。
 それにしても強い。展開も馬場も関係なし。鞍上が“失敗した”レースですら勝ってしまう。ダービーでも好勝負できたのでは、の声に松田博師は当然と言わんばかりに答えた。「そう思うよ。今の時期ならね」。能力には絶対の自信があった。未対戦のライバルについて、オークスのトライアルもチェックはしたが「何が勝ったのかも覚えていない」と言うほどだった。
 気性面も牝馬の枠を超えている。馬場入り直後には立ち止まって周囲を見回す余裕。直後に放馬で騒然とする場内にも全く動じず、返し馬へと向かった。初コースのG1で、この落ち着きぶり。これなら海外でも、という期待が膨らんでくる。ノーザンファームの吉田勝己代表は「行くことになるでしょう」と凱旋門賞への出走を高らかに宣言した。松田博師も「重量(54・5キロ)は魅力。放牧を挟んで、もうひと回り大きくなってほしい」と遠征に意欲的な姿勢を見せた。最強牝馬へ、ブエナビスタがクラシック2冠を手に世界最高峰の舞台に立つ。

 ▼ブエナビスタ 父スペシャルウィーク 母ビワハイジ(母の父カーリアン)牝3歳 栗東・松田博厩舎 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道勇払郡安平町ノーザンファーム 戦績6戦5勝 総獲得賞金3億5173万5000円。

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2009年5月25日のニュース