アニメ研究部 小松未可子

小松未可子「Maps」に込めた意味 自分を彩り、聴いた人に寄り添いたい

[ 2017年5月5日 10:00 ]

5月10日発売のアルバム「Blooming Maps」のジャケット写真
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 「アニメ研究部」第3回のインタビューは、5月10日に3年ぶりのアルバム「Blooming Maps」をリリースする声優の小松未可子さん(28)。収録曲や声優の歌手活動などについて語ってもらいました。

 2010年のテレビアニメ「HEROMAN」で声優デビューし、主人公・加藤茉莉香を演じた12年のテレビアニメ「モーレツ宇宙海賊」のイメージソング「Black Holy」で歌手デビュー。声優として歌手活動を行う事について「最初は作品に彩りを加える役目を自分が担当するという気持ちだった」という。

 しかし、これまでにシングル8作、ミニアルバム1作、フルアルバム2作をリリースするなどの活動を重ねていくうちに、「自分自身を表現するという思いに変わっていった」。その言葉どおり、3作目のフルアルバムとなる今作に、アニメタイアップ曲は1曲もない。タイトルの「Maps」には「自分の現在地を書き示すような、今の自分を表現した楽曲たち」という意味が込められている。「自分を彩りつつ、聴いた人に寄り添える。そんな役目を担えたらうれしいです」。

 自身の楽曲と並行し、出演したアニメのキャラクターとして歌う機会も多い。15年のテレビアニメ「青春×機関銃」では主人公・立花蛍として第8話エンディング曲「チクタク」を、小松未可子としては挿入歌「ロッカー」を歌った。「キャラの場合、既に作品で演じたイメージが出来上がっているので、自分の曲よりも表現はしやすい。立花にロッカーを歌わせるとめちゃくちゃ難しいと思いますが」と笑った。「歌わせる」という表現に、キャラクターソングはキャラとして、自身の楽曲は小松未可子として歌うこだわりを感じた。

 小松の音楽活動を語る上で欠かせないのが、全面プロデュースを担当する音楽プロデュースチーム「Q―MHz(キューメガヘルツ)」。いずれも作詞家・作曲家の畑亜貴、田代智一、黒須克彦、田淵智也の4氏からなるチームで、今回のアルバムも作詞・作曲は基本的にQ―MHzが担当。楽曲制作は、小松が4人に歌いたい歌のイメージを伝えたり、4人が小松のイメージで曲を作ったり、さまざまなパターンで行われた。例えば、アルバム6曲目の「硝子の地球儀」については「畑さんから『小松さんの聖なるイメージから作った』と言われました。畑さんの持つ独特の世界観だと思います」。

 3曲目の「Catch me if you JAZZ」では作詞も行った。田淵氏からジャズ、畑氏から透明人間というテーマが与えられたといい、「『ジャズと透明人間!?』と四苦八苦しながら、1カ月くらいかけて書きました」。2つのテーマを元に小松が書いた歌詞だと思うと、また違って聞こえてくるから面白い。

 曲順にもこだわった。9曲目「流れ星じゃないから」と10曲目「Lonely Battle Mode」は「女心ゾーン」。いずれも女心を歌っているが、「流れ星―」は壮大なバラードで、「Lonely―」は一転してアップテンポな曲。「これが女子の切り替えですよ。9曲目はちょっと悲しい曲なんですが、終わったら『ハイ、次』みたいな(笑い)」。特に「Lonely―」については「畑さんとガッチリ握手して『女子ってそうですよね!』って。永遠にわかり合えない男女のバトル。男子必聴です」と話した。

 小松とQ―MHz、5人が集まって作るだけあって、さまざまな表情を見せる12曲が並ぶ。「曲が完成するたびに、『自分からこんな言葉が出てくるんだ』と新しい発見ばかりですね。聞いてくれた方の生活に彩りを加えられる、そんな1枚になれればいいなと思います」。(西向 智明)

 =次回はインタビュー後編として5月12日にアップ予定。

 ◇小松 未可子(こまつ・みかこ)1988年(昭63)11月11日、三重県桑名市出身。現在放送中のテレビアニメ「アトム ザ・ビギニング」(堤茂斗子役)、「サクラクエスト」(香月早苗役)、「Re:CREATORS」(セレジア・ユピティリア役)などに出演中。歌手の倉木麻衣のファンで、趣味を聞くと「倉木麻衣さん」と返ってくるほど。最近のマイブームはLINEスタンプのキャラクター「めんトリ」のグッズ集め。1メートル60、血液型B。

 ▼アルバムリリースツアー リリースに伴う東名阪ツアー「小松未可子TOUR2017“Blooming Maps”」が開催される。7月22日の東京・渋谷TSUTAYA O―EASTを皮切りに、7月29日に愛知・SPADE BOX、8月6日に大阪・Music Club JANUSでそれぞれライブを行う。

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