【劇場へGO】出身母体の違う舞台役者たちが存分に手腕を発揮する極上アンサブル

[ 2026年5月11日 08:00 ]

舞台「おだまり、お辰!」で伯爵の未亡人とお手伝いさんとして客席の笑いを誘う藤山直美(左)と高畑淳子(撮影・高村直希)
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 藤山直美(67)に高畑淳子(71)、柄本明(77)にベンガル(74)吉田栄作(57)…と多彩でそれぞれに“主演級”の役者が集まった舞台。「面白くないわけがない」と足を運んだ。

 時は明治時代。田舎育ちのお辰(藤山)、麟太郎(〓田)は身分違いの恋で東京への駆け落ちを決意するが、なぜかお辰に横恋慕する銀蔵(柄本)も同行することになり…と思ったら、彼女は母(大津嶺子)の身を案じて残ることに。もはや何の駆け落ちか分からんオープニングで笑いをかっさらい、客席の心をわしづかみにした。

 時は流れ、お辰も結局は上京し今は伯爵未亡人・貴子(高畑)のお手伝いさんとして、この女主人の心をがっちりつかんでいる。そこへ軍医となった麟太郎がやってきて、貴子は彼に一目ほれ。お辰は麟太郎との過去を言い出せず、これまた今や政財界の大物になっていた銀蔵まで出現してしっちゃかめっちゃか。そこに伯爵邸の執事(ベンガル)も絡んできて、笑いの連続である。

 どこまでが台本で、どこからがアドリブなのか。いや、この人たちのことだ。緻密に計算された段取りの上の“笑い”で客席は転がされているだけなのか…。いや、深く考えるのはやめよう。細かく言い出せばキリがない。クスリとさせるものから、誰もが声を出さずにはいられない大笑いまで。オシャレ?なのは主要人物が90歳近くになったであろう昭和33年、新歌舞伎座の開場時にリンクさせエンディングとして、もちろん笑いたっぷりに客席を納得させていたことである。

 そして藤山の母親役と言えばこの人、大津嶺子(84)との母娘のやりとりでちょっとホロリとさせられ。忘れてはいけない。伯爵夫人の甥、天然で悪気のないおぼっちゃまを演じた岡本圭人(33)のストーリーテラーぶり。客席をうまくコントロールする手腕に舌を巻いた。出身母体の違う舞台役者たちが存分に手腕を発揮する極上のアンサブルだった。(土谷 美樹)

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