【岸本加世子 我が道25】いつも言ってくれる「しゃーない。老後は辰吉家で面倒を見たるから」

[ 2025年11月26日 07:00 ]

辰吉丈一郎さんとは家族ぐるみのお付き合いをさせていただいてます
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 元WBC世界バンタム級チャンピオンの辰吉丈一郎さんと家族ぐるみのお付き合いをさせてもらっていますが、20歳の時にボクシングを題材にしたドキュメンタリーのナビゲーターを務めたことがありました。

 映画「心中天網島」や「少年時代」など数多くの名作を残した篠田正浩監督が4回戦ボーイにスポットを当てた番組で、20歳のボクサーが主人公で、私も20歳。ボクシングのことは何も知らなかったのに、この番組で、元WBC・WBA世界バンタム級王者のファイティング原田さんや元WBA・WBC世界フライ級王者の海老原博幸さんらレジェンドにインタビューする機会にも恵まれました。

 1960年代のボクシング界をけん引し、日本中を熱くさせた両雄。猛烈なラッシュを武器に、日本人で初めて世界フライ級・バンタム級の2階級制覇をした原田さんの実力は海外からも「歴代最も偉大な日本人ボクサー」として名前が挙がるほどですね。カミソリ・パンチの海老原さんは91年4月20日に51歳の若さで亡くなられましたが、シャイで素敵な方でした。

 77年に放送された私のデビュー作「ムー」(TBS)でご一緒した、たこ八郎さんにもかわいがっていただきました。ちなみにたこさんは、原田さんと笹崎ジムの同期だったそうです。演出の久世光彦さんに怒られてセットの隅でべそをかいていると、いつもすーっと横に来てくださって「カヨさん、大丈夫だよ」と励ましてくださるんです。本当にやさしい方でした。

 大家の依頼を受けて「うさぎ屋」に立ち退きを迫るチンピラ二階堂卓也(細川俊之さん)の子分・八郎を演じていたのがたこさん。「ごま(め)んなすって」などと言いよどむたび、二階堂から手加減なしに横っ面を張られるが、実は、いざこざの際には華麗なフットワークを披露して相手を圧倒。二階堂より断然強いんです。

 それもそのはずで、たこさんも元日本フライ級チャンピオンまで上り詰めた方で、34勝8敗1分けという立派な成績が残っています。引退して由利徹さんに弟子入りし、コメディアンになられましたが、個性的な俳優さんでした。

 丈ちゃん(辰吉さん)は「昭和の男」みたいなところがあって、私の顔を見ると、「はよ嫁に行け、はよ嫁に行けや」と世話を焼いてくれます。私も12月で65歳。結局この年になっちゃったんで、「しゃーない。老後は辰吉家で面倒を見たるから」といつも言ってくれてます。
 おばあちゃんになったら、私大阪でお世話になってるかもしれません(笑い)。

 ◇岸本 加世子(きしもと・かよこ)1960年(昭35)12月29日生まれ、静岡県島田市出身の64歳。77年、テレビドラマ「ムー」で女優デビュー。以降、テレビ、舞台、映画、CMなどで幅広く活躍。ドラマ「あ・うん」、舞台「雪まろげ」、北野武監督の映画「HANA―BI」「菊次郎の夏」など代表作多数。著書に小説「出てった女」、エッセー「一途」など。

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