本宮泰風&山口祥行 「日本統一」シリーズの「最高傑作」 スピンオフ映画「田村悠人」

[ 2025年6月2日 10:23 ]

質問に対して丁寧に答える山口祥行(撮影・本宮泰風)
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 【牧 元一の孤人焦点】人気任侠シリーズ「日本統一」のスピンオフ映画「田村悠人」(辻裕之監督)が6月6日に公開される。原案・総合プロデュースの本宮泰風(53)と主演の山口祥行(53)がインタビューに応じ、作品の魅力を語った。

 ──田村(山口)が次々と敵を倒していく展開にブルース・リー主演の映画「死亡遊戯」を思い出しました。
 本宮 いろんな作品をイメージして作ったので「死亡遊戯」の要素も1%くらい入っています(笑)。
 山口 僕は脚本を読んだ時、これは「走れメロス」(太宰治の小説)だと思いました(笑)。
 本宮 「走れメロス」は2%くいらかな(笑)。脚本を作る前、参考として、戦い続ける映画を何本も見たんです。見ていてアクションをうるさく感じるようになる作品もあったけれど、それでもアクションに特化した作品にチャレンジしようと思いました。それには彼(山口)のアクションの能力、技術が必要でした。

 ──田村はずっと戦い続けますが、撮影が大変だったのでは?
 本宮 彼が序盤に大けがをしたんです。きつそうだったので、本人に「撮影時期を変えよう」と話しました。でも、「いや、やる」と。

 ──山口さんはどこをけがしたのですか?
 山口 左足です。
 本宮 本当に歩けないくらいの状態でした。格闘技で僕がセコンドだったらタオルを投げています。続けたら後遺症が残ってしまうかもしれない。親友として、プロデューサーとして葛藤がありました。でも、「やる」と言う彼に、最後は甘えてしまいました。

 ──全治どのくらい?
 山口 2カ月くらいです。骨膜炎になりました。

 ──よく撮影を続けられましたね。
 山口 中断して再開してそこでまたもっとひどいけがをしたら嫌じゃないですか(笑)。泰風のテーピングがうまいんです。他の仕事もあって忙しい泰風に毎日テーピングをしてもらっていました。それで本番となると気合が入って動くんですよ。
 本宮 とはいえ、撮影が終わると反動が来る。
 山口 本当によくケアしてくれましたよ。

 ──作品の中で田村は途中から足を引きずっていますね。
 本宮 あれはガチです。田村がけがをするシーンまで撮っていたのが不幸中の幸いでした。

 ──山口さんは今回のアクションでどんなことを大切にしましたか?
 山口 アクションシーンが多いので、リズムを作った方がいいと思いました。それぞれのシーンが一定のリズムにならないようにする。音楽に例えれば、Aメロがあって、Bメロがあって、サビがある、みたいな。ライブ感を楽しんでやったところがあります。

 ──山口さんのアクションに対する本宮さんの感想は?
 本宮 アクションがどうこうという次元で僕は語れません。これは普通の状態で撮った映画じゃない。彼がけがをして「中止にしようか」と言いに行った時のことを昨日のことのように覚えています。彼が気持ちで押し切って成立させてくれた。その大変さは彼にしか分からない。これだけの作品に仕上がったのはとてつもないことです。彼じゃなければできなかったと思います。いい主役だと思います。本当に感謝しています。
 山口 何か食べたいものある?(笑)

 ──昨年4月公開の映画「氷室蓮司」に続くスピンオフ作品ですが、本宮さんは「田村悠人」をどんな作品にしようと考えたのですか?
 本宮 僕らも50歳を過ぎたので、ここらへんで山口のアクションの集大成を撮っておきたいという思いがありました。

 ──脚本作りは?
 本宮 ストーリーを簡潔にしようと思いました。捕らえられた氷室(本宮)を田村が助けに行くだけの物語にする。でも、物語を簡潔にするというのは凄く難しい作業なんです。氷室が捕らえられるまでの話を作らなくちゃいけない。助けに行く田村の思いも入れなくちゃいけない。脚本家にお願いするとそれなりのストーリーができるんですが、それをいかにそぎ落として簡潔にするかということに苦心しました。

 ──この映画は、田村が戦う現在のシーンがモノクロになっていて、戦いに至るまでの過去のシーンがカラーになっているところが効果的だと思います。
 本宮 最初に僕が鈴木祐介エグゼクティブプロデューサーと話した時、鈴木さんは全てモノクロにしようと考えていました。撮影現場の照明のことを考えると、モノクロの方が有効に働く部分があるんです。でも、全てモノクロにするのは、悪く言えば、ちょっとビビった(笑)。それで、過去のシーンをモノクロにするというオーソドックスな手法とは逆のことをすればいいのではないかと思いました。シリーズ全体にもプラスになるようなチャレンジでした。
 山口 モノクロは回想シーンのイメージがあるから見ている人が混乱するんじゃないかと心配したけれど、監督がうまくまとめてくれました。試写で見ているうちにモノクロシーンがモノクロだと感じなくなった。それはうまくいった証なんだと思います。
 本宮 作品の力が強いのでカラー、モノクロは気にならないんじゃないかと思います。見終わった後、どこがモノクロでどこがカラーだったか、忘れているんじゃないでしょうか。

 ──思い入れのあるシーンは?
 山口 僕はやはり、捕まっていた氷室が田村の前に現れるシーンです。あそこが好きですね。あそこで、勝った!と思いました。

 ──この作品は田村のスピンオフなのに氷室のアクションシーンが豊富なのでお得感があります。
 本宮 お得感(笑)。
 山口 ありがとうございます。
 本宮 よくよく考えてみると、この物語は結構ふざけた話なんですよ。脚本を作る前、こんな大筋がありました。「氷室が捕まる。田村が助けに行く。氷室が自力で脱出する。助けに行った山村が捕まる」。その通りに撮ったんですけど、捕まった氷室は結局、自力で脱出してしまう。助けに行った山村(川崎健太)は捕まって足手まといになってしまう(笑)。
 山口 僕らが真面目に一生懸命に演じているから分からないんですけど、ふざけた話なんですよね。だから、見終わった後、カルト映画に思える(笑)。

 ──でも、見ていてコミカルな要素は全く感じませんでした。
 本宮 それを感じさせるようじゃダメなんです。よくよく考えた時に分かるようにしなくちゃいけない。それが僕たちのふざけなんです。
 山口 脚本を読んだ時、この作品が面白くなるかどうか分からなかったけれど、試写の後、僕は泰風に「これは凄い!」と伝えました。そしたら、泰風は「本気出したんだよ」と。

 ──私は「日本統一」シリーズの最高傑作だと思います。
 本宮 今までの最高傑作です。アクションに特化する作品として自分たちの狙い通りに撮ることができました。初めての試みがうまくいきました。新しい「日本統一」を皆さんに見て頂けると思います。

 ≪後記≫インタビューの途中、予期しないことが起きた。テーブルの上に置いてあった私のカメラを目にした本宮が「それ、借りていいですか?」と言い出したのだ。私が反射的に「どうぞ」と返すと、本宮は席から立ち上がり、カメラの使い方を質した上で、レンズを山口に向けた。「今、いい顔で話しているから」と本宮。私の質問に答える山口を撮影してくれたのだ。本宮に初めて取材でお世話になってから約3年。何度も顔を合わせ、お互いに気心が知れてきたという面もあるが、記事に写真を掲載するならばなるべく良いものを…という本宮のクリエーターとしての熱意が伝わってきた。写真を後で確認すると、思わず、うまい!と声が漏れそうな、的確な構図のカットがあった。本宮の多彩な才能に改めて触れた思いがした。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。

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