「あんぱん」草吉・阿部サダヲ実演“パン職人ぶり”絶賛「器用」練習用“特製生地”も!製パン指導語る裏側

[ 2025年4月9日 08:15 ]

「あんぱん」製パン指導・竹谷光司氏インタビュー

連続テレビ小説「あんぱん」第8話。朝田のぶ(永瀬ゆずな・左から3人目)らとパン生地をこねる屋村草吉(阿部サダヲ・右から2人目)の掛け声は…(C)NHK
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 女優の今田美桜(28)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は9日、第8回が放送され、朝田家の石材で作った即席のパン焼き窯が登場。風来坊のパン職人・屋村草吉(阿部サダヲ)があんぱんを焼く姿が描かれた。実物(食べ物)の「あんぱん」が物語のキーアイテムになる今作。「製パン指導」を担当する、日本のパン研究の第一人者・竹谷光司氏に阿部らへの指南や昭和初期のあんぱん再現の舞台裏を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 「ドクターX~外科医・大門未知子~」シリーズなどのヒット作を生み続ける中園ミホ氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算112作目。国民的アニメ「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかし氏と妻・暢さんをモデルに、激動の時代を生き抜いた夫婦を描く。中園氏は2014年度前期「花子とアン」以来2回目の朝ドラ脚本。今田は21年度前期「おかえりモネ」以来2回目の朝ドラ出演、初主演となる。

 第8回は、朝田のぶ(永瀬ゆずな)は元気のない家族のため、力を貸してほしいと屋村草吉(阿部サダヲ)に懇願。草吉は1回きりの約束であんぱんを作ることに。不服顔の釜次(吉田鋼太郎)をよそに、桂万平(小倉蒼蛙)らの協力を得て即席のパン窯を造り始める。そうして無事に焼き上がったあんぱんは次々と売れ、のぶはあらためて草吉に頭を下げる。朝田羽多子(江口のりこ)もパン屋に挑戦したいとお願いし、釜次は渋々了承。しかし翌日、草吉が姿を消し…という展開。

 草吉はパン生地作りを開始。大事に持っていた壺の中身を生地に混ぜる。のぶが「それ、何?」と尋ねると「内緒だ」。そして、生地にあんこを包んでいく。即席の石窯も完成。12個のあんぱんが焼き上がった。1個10銭だが、羽多子は1個2銭の特別価格に。飛ぶように売れた。

 竹谷氏がドラマや映画などで製パン指導を務めるのは、今回が初。「驚きましたけど、昭和初期のパンがどういう映像になるのか、興味が湧きました」とオファーを快諾。当時の製パンについて再度、調べた。やなせ氏が幼少期からあんぱん好きだったことも今回知り「私も小さい頃からあんぱんが好きでしたし、うれしかったですね」と笑った。

 パンづくりには「酵母」(糖をアルコールと炭酸ガスに分解する微生物)が不可欠。「発酵」の際に生じる炭酸ガスにより、パン生地が膨らむ。

 市販酵母が普及する前の昭和初期の日本においては、しっとりフワフワに焼き上がる「酒種」をあんぱん(菓子パン)に、軽く焼き上がる「ホップ種」を食パンに使用。「酒種あんぱん」は「木村屋總本店」(東京都江東区)が明治7年(1874年)に開発した。

 竹谷氏は「酒種は米・麹・水から作るんですけど、培養に5日間かかるので大変なんです。うちのお店も開業14年になりますが、あんぱんに酒種を使っていたのは最初の5年だけ。街のパン屋さんでも、使っているのは1割もないんじゃないでしょうか。あんぱんは25~30%の大量の砂糖が入るので、浸透圧が強すぎて、ホップ種や普通のパン酵母だと、うまく発酵してくれません」と解説。

 それでも今回は、当時のあんぱん再現にこわだり「草吉役の阿部さんがパン生地を仕込むシーンは、実際に酒種を使いました」とこわだり。収録スタジオは火気厳禁のため、劇中の焼き上がったあんぱんは、竹谷氏の店で“簡易酒種”を用いて焼いたものを運んだ。

 生地の仕込みから、あんこを包むまで実演した阿部の“パン職人ぶり”については「流石、役者さんは勘がよくて器用ですよね。そう簡単には包めませんから」と絶賛。あんこを包むシーンは、当時の竹べらを使った。

 阿部には自宅練習用の“特製生地”も授け「ゴルフボールをあんこの代わりにして。本来は1回しか使えないんですけど、パン酵母を少なくして油脂を多くすれば、冷蔵して3~4回は練習できる生地になるんです」と明かした。朝田家3姉妹・のぶ役の今田、蘭子役の河合優実、メイコ役の原菜乃華にも指導。「皆さん器用で、センスを感じました」と振り返った。

 この日の第8回には、即席の石窯が登場。当時、パンを焼くにはレンガなどを積んだ窯を使っており、今回、石窯指導の中川泰照氏とともに、実際に河原の石で窯を組んで実験した。

 「既に出来上がった石窯で焼かせていただいたことは何回もありますけど、自分で組み上げたのは初めて。惚れ惚れするほど、こんなにもいいパンが焼けるんだと、ビックリしたのと同時に感激しました。蓄熱量が大きいほど、じわっと美味しく焼けて、お店で使うようなパンの石窯は通常1トン以上あります。砂蒸し温泉に入っているような感じでしょうか(笑)」

 劇中以外のパンも時々、撮影現場に差し入れ。「あんぱんをはじめ、皆さんに喜んで食べていただけて、うれしかったですね」。竹谷氏はドラマ制作チームにおける“ジャムおじさん”なのかもしれない。

 ◇竹谷 光司(たけや・こうじ)1948年(昭和23年)生まれ、北海道出身。大学卒業後、大手パンメーカーに勤務。71年から3年間、旧西ドイツ(現ドイツ)でパンの研修を受ける。帰国後、大手製粉会社に入社。開発や基礎研究に携わった。86年、ベーカリーフォーラムを立ち上げ、今日のベーカリー発展の礎を築く。2007年、製粉協会・製粉研究所へ出向し、全国の育種家と知己を得る。10年、千葉県佐倉市に「美味しいパンの研究工房・つむぎ」を開店。20年、息子夫婦に店を譲ってから、後進の育成に注力している。

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