「虎に翼」番組CPに聞く 最終回どうなる?吉田脚本絶賛「エンタメと主張の両立」同性婚描写は自然な流れ

[ 2024年8月30日 12:00 ]

「虎に翼」制作統括・尾崎裕和氏インタビュー(3)

連続テレビ小説「虎に翼」も残り1カ月、佐田寅子(伊藤沙莉)が担当する「原爆裁判」や尽力する「少年法の問題」が描かれる(C)NHK
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 女優の伊藤沙莉(30)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「虎に翼」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)も残り1カ月となった。制作統括の尾崎裕和チーフ・プロデューサー(CP)に、脚本・吉田恵里香氏(36)の作劇の魅力や終盤の展望を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 向田邦子賞に輝いたNHKよるドラ「恋せぬふたり」などの吉田恵里香氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算110作目。日本初の女性弁護士・判事・裁判所所長となった三淵嘉子氏をモデルに、法曹の世界に飛び込む日本初の女性・猪爪寅子(ともこ)の人生を描く。吉田氏は初の朝ドラ脚本。伊藤は2017年度前期「ひよっこ」以来2回目の朝ドラ出演、初主演となる。

 結審に8年を要した「原爆裁判」と並行し、第21週(8月19~23日)は「夫婦別姓や事実婚」「同性婚やセクシュアリティー」、第22週(8月26~30日)は「女性の社会進出」をテーマに描いた。

 現代に通じる社会問題を盛り込んだことについて、尾崎CPは「初期の段階から決めていたというよりは、戦後の民法改正に携わり、人生を積み重ねた寅子なら、こういう思考の筋道を辿って2回目の結婚に至るんじゃないかと、吉田さんがストーリーを紡いでくださいました。同性愛者の轟(戸塚純貴)も、年齢を重ねてパートナーが見つかれば、法的な婚姻関係の問題にぶつかるのは必然的な流れだと思います」と経緯を説明。

 「どう受け止めていただくかは視聴者の皆さんそれぞれで、ドラマとしては、寅子や轟がこう悩み、考えたという姿を描くことで“問い掛け”になっていればいいなと思っています」と狙いを明かした。

 吉田脚本の凄さは「エンターテインメント性とテーマ性(主張)の両立」。各年代の5人の“イマジナリー寅子”が夢の中に現れ、名字変更について意見を交わし、視聴者の爆笑をさらった第102回(8月20日)が最近の好例。「力のある台詞がどんどん出てくる作家。ちゃんとエンタメでありながら、見る側が自分事として撃ち抜かれるといいますか、自分の中に何か気づきが生まれるような台詞を書かれるのが、吉田さんの脚本家としての魅力の一つだと思います」と絶賛した。

 寅子は1914年(大正3年)生まれ。第20週「ふたたびの東京編」(8月12~18日)スタート時の劇中の年代は1955年(昭和30年)で、寅子も41歳に。“アラフォー寅子”を演じる伊藤についても「新潟で部下のことをよく観察していて、僕が見習いたいぐらいの上司ぶり。年齢を重ねた寅子を自然に表現してくださっています」と称えた。

 第24週(9月9~13日)以降の最終盤は、“家庭裁判所の母”と呼ばれた三淵氏のキャリア通り、寅子が東京家裁に異動。三淵氏も対象年齢の引き下げ阻止に力を尽くした少年法の問題が描かれる。

 三淵氏は1979年(昭和54年)に定年退官。1984年(昭和59年)に亡くなった。69歳だった。

 最終回(第130回、9月27日)に向けては「晩年になっても寅子の本質、コアな部分は変わらない、というところに持っていきたいのが吉田さんの思い。それがどう表れているか、寅子の何歳までを描くのかも是非、放送を楽しみにしていただければ」とアピールした。

 =インタビューおわり=

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