【浜田剛史 我が道19】右膝治すためスッポン店通い…「自分で治すんだ」
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1985年(昭60)7月7日の東洋太平洋ライト級タイトルマッチは、オレにとっては忘れられない試合になりましたね。
ジョンジョン・パクイン(フィリピン)に挑戦した試合は、4回に右フックでダウンを奪いましたが、倒し切れなかった。プロ初の12ラウンドでプロ初の判定勝利、連続KO勝利記録が15で途絶えた試合になりました。
捨て身になれないので、やりにくい試合でした。世界戦なら左拳も右膝も、壊れてもいい。でも、世界戦前に壊してはいけない。右膝の負傷で、試合をやる決断をしたのが2日前。とんでもない試練だったので、忘れられない試合ですね。
練習では、右膝にテーピングを施して固定してました。試合では、テーピングの上にサポーターを着けることもできたのですが、「カッコ悪いからしない」と、しませんでした。右足に体重を乗せられない。左パンチで頭を打てない。2回に、右ストレートをまともに食らって、鼻血を出した。あんなに打たれたのは初めてでしたね。
4回にダウンを奪ったときも、右膝を気にしてセーブしました。それまでの最長だった9回を超えて、12回まで戦った。判定はフルマークの9点差が1人、7点差が1人、引き分け1人の2―0。当時は必ず相手の国のジャッジが1人いましたから、判定に不服はなかったですけどね。
同年11月、東洋タイトルの初防衛戦を、地元の沖縄奥武山体育館でやりました。スワルノ・ペリコ(インドネシア)を初回1分30秒KO。理髪店に行く暇がなくて、髪はボサボサ、ヒゲぼうぼうでした。リングの身だしなみと服装は、オレにとっては「舞台衣装」なんですが、この時は仕方ありませんね。
地元で初防衛に成功しましたが、右膝の不安は消えていませんでした。実はパクイン戦後、左拳の手術をしてもらった日大病院の龍順之助先生に診てもらったんですね。龍先生は手だけでなく、膝も専門だった。関節鏡の検査のため、入院することになりました。
そのころ、オレは半月板にはコラーゲンやゼラチン質がいいと聞いて、週に3回、上野や渋谷のスッポン店に通ってました。1回で1万5000円。行かない日も、大量に買って冷蔵庫に保管していたフグの皮を食べる。手術せずに、右膝を治すつもりでした。
1週間の入院前日、オレはスッポン店にいました。その時に「自分で治すんだ」という気持ちが強くなり、店からマネジャー(長野ハルさん)に電話しました。
「明日入院しません」「どうしたの?」「明日病院には行きま
す。ただ、入院はしません」
龍先生に引き留められましたが「やりません」と答え、入院も検査もしませんでした。
◇浜田 剛史(はまだ・つよし)1960年(昭35)11月29日生まれ、沖縄県出身の65歳。沖縄水産高で高校総体王者。帝拳ジムからプロデビューし、84年12月に日本、85年7月に東洋太平洋のライト級王座を獲得。86年7月にレネ・アルレドンド(メキシコ)を衝撃的な初回KOで破り、WBC世界スーパーライト級王座を獲得した。戦績は24戦21勝19KO2敗1無効試合。現在は帝拳ジム代表。
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