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中谷 薄氷のデビュー32連勝 国内新記録も“階級の壁”痛感 どうなる日本人頂上決戦

[ 2025年12月28日 04:39 ]

スーパーバンタム級   WBA&WBC&WBO1位・中谷潤人(M.T)<12回戦>WBC10位 セバスチャン・エルナンデス(メキシコ) ( 2025年12月27日    サウジアラビア・リヤド ムハマド・アブド・アリーナ )

勝利し客席に向かって手を合わせる中谷(撮影・島崎忠彦)
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 スーパーバンタム級転向初戦に臨んだ世界3階級制覇の中谷潤人(27=M・T)が大苦戦の末に3―0で判定勝ちした。世界4団体統一王者・井上尚弥(32=大橋)が君臨する階級で、井上のスパーリングパートナーも務めたセバスチャン・エルナンデス(25=メキシコ)に打ち合いで勝ちきれなかった。国内新記録のデビューから32連勝を飾ったものの、来年5月上旬に東京ドームで計画されている井上との対決に暗雲が漂った。

 ラウンドが進むごとに増していく右まぶたの腫れが、大苦戦を物語った。来年5月の対戦を目指す“モンスター”と初の共演で、井上よりも先にリングへ上がった中谷が、“井上の階級”の厳しさを味わった。「エルナンデス選手はとても強かった。とてもタフな試合になって、とても良い経験になりました」と試合を総括した。

 2センチ長身の相手に対し、序盤は軽快なステップとロングジャブで距離をつくり、手を出させなかった。だが、3回に“相手の土俵”である接近戦に応じると展開は一変。アッパーやフックをクリーンヒットさせてもメキシカンの前進を止められず、細かいパンチを浴び続けた。採点はジャッジ1人が8点差をつけたものの、2人は2点差の辛勝。新階級でパワーが通用しなかったのか?と問われると「それも想定して練習していたが、エルナンデス選手が凄く良いファイトをしてくれたので、僕自身も成長できました」と話した。

 減量による体へのダメージが軽減され、練習からスピードアップを実感していた。恒例のロサンゼルス合宿では、5月に井上からダウンを奪い、体格が井上とほぼ同じカルデナス(米国)とのスパーリングで新階級への適応を確信。一方で、階級を上げるたびに体格的なアドバンテージが減り、対戦相手のパワーや耐久力が増す事実に「僕が組み立ててきたものを一発で崩される可能性がある」と警戒していた。転級初戦で懸念は現実のものとなった。

 試合前日、井上が来年5月の試合について「中谷戦か、フェザー級で5階級(制覇)を狙うか分からない」と仰天発言。期待されていた日本人頂上決戦は一転“開催危機”を迎えた。大橋ジムの大橋秀行会長は「明日の試合を見て決めたい」とエルナンデス戦を“テストマッチ”と位置づけたが、納得させられたかは微妙だ。「もちろん、あの世界チャンピオンを目指してこの階級に転向したので、そのチャンスを頂けるならしっかり仕上げます」。井上戦を期待する問いへの答えも控えめだった。

 ◇中谷 潤人(なかたに・じゅんと)1998年(平10)1月2日生まれ、三重県東員町出身の27歳。小4から空手を始め、中1でボクシングに転向し、17歳でプロデビュー。16年全日本フライ級新人王、19年日本王座を獲得。20年11月にWBO世界フライ級王座、23年5月にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得。昨年2月にWBC世界バンタム級王者となり、3階級制覇。今年6月にIBF同級王者の西田凌佑を6回終了TKOで下し、自身初の王座統一に成功。身長1メートル73、リーチ1メートル74の左ボクサーファイター。

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