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浜田剛史氏 強引さに見た尚弥の底力、挑発乗らない相手倒せず11回ギアチェンジ

[ 2022年12月14日 05:00 ]

世界バンタム級4団体王座統一戦 ( 2022年12月13日    有明アリーナ )

<世界バンタム級4団体王座統一戦 井上尚弥VSポール・バトラー>7回、ポール・バトラー(右)にパンチを浴びせる井上尚弥(撮影・島崎 忠彦)
Photo By 代表撮影

 【浜田剛史の目】バトラーが防御重視のボクシングをしてくることは予想通りだが、ここまで徹底するとは思わなかった。おそらく1ポイント差の判定勝利を思い描いていたはずで、相当研究したのだろう。井上のパンチの軌道を読んで防御していたし、さらにロープに詰まらないように足を使って動き続けた。本当はそこからパンチを返していく狙いだったのだろうが、井上がそれをさせてくれず、守ることに精いっぱいだった。

 井上サイドからすれば、こういう相手を、どう捕まえるか?が鍵だった。ノーガードにしたり、手を後ろに回して顔を前に突き出したり、相手を誘い出そうとしたが乗ってこず、「KOできないのでは?」という思いが頭をよぎったかもしれない。11回は強引に行ったが、あれでいい。世界王者になるほどの実力者が“判定負けでいい”という戦い方をしてきたら、倒すのは難しく、ロープに詰めてガードの上からでも打ち込む強引さも必要。ただ、序盤のチャンスでは無理に行かず、終盤の勝負どころを見極めた。最後はバトラーも辛抱できなかったのだろう。

 来年はスーパーバンタム級での戦いとなる。フルトン、アフマダリエフともに強い王者だが、階級を上げることで井上も減量に余裕ができ、より良い練習ができるはず。大切なことは“強い井上尚弥”が出せるウエートでやること。圧倒することは難しくても体力負けすることないだろう。(元WBC世界スーパーライト級王者)

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