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岡沢 ボクシング世界選手権金もパリ五輪へスタイル“変攻”明かす

[ 2021年11月12日 05:30 ]

世界選手権から帰国した坪井(左)と岡沢は金メダルとベルトを携えてポーズ
Photo By スポニチ

 ボクシングの男子世界選手権(ベオグラード)で日本史上初の金メダルを獲得したバンタム級の坪井智也(25=自衛隊)とウエルター級の岡沢セオン(25=INSPA)が11日、オンラインで帰国会見を開いた。東京五輪出場を逃した坪井は引退覚悟で臨んでいたと振り返り、東京五輪代表の岡沢は24年パリ五輪へ向けてより攻撃的なスタイルの導入も検討していると明かした。

 日本勢初優勝の快挙から8日に帰国した2人は隔離中に会見に応じた。「まだ実感がない。隔離先で最初に食べたのがカップラーメン。チャンピオンという生活でもない」。そう言って笑わせた岡沢は「厳密に言うと(優勝は坪井に次いで)日本勢2番手なので悔しいけど、同じ世代の2人で歴史を変えられて本当によかった」と喜びをかみしめた。

 坪井は「引退する覚悟も持ちながら臨んだ大会で優勝できてうれしい」と明かした。19年全日本選手権フライ級決勝で東京五輪銅メダルの田中亮明(岐阜・中京高教)に敗れ、五輪出場が消滅。好戦的なスタイル一辺倒で判定が割れた反省から2年かけて技術面を磨き、今大会は相手を事前分析して勝てるパターンを追求した。次の目標には来年の杭州アジア大会を挙げ、「フェイントやパンチの精度が甘い部分もあった中で優勝できた。課題を修正したらもっと強くなれる」と話した。

 岡沢は東京五輪2回戦で金メダルのイグレシアス(キューバ)に2―3と惜敗したのが逆に自信になったという。今大会準決勝では以前から不安があった左肩を痛めながらも、フットワークと右ジャブ主体にポイントを稼ぐ持ち味のアウトボクシングを徹底。現地でも「クレバー」と称賛されたが、際どい判定も多かったため「もっと自分から前へ出てポイントを取るスタイルも練習したい」と攻撃的なボクシングを一からつくり直す意欲も明らかにした。

 次戦は未定で全日本選手権(24日から東京)も欠場するが「最終的には(24年の)パリ五輪での金メダル。全部フルマークで圧勝できる選手が目標」と言い切った。

 ◇岡沢 セオン(おかざわ・せおん)1995年(平7)12月21日生まれ、山形県出身の25歳。父がガーナ人で母が日本人。日大山形高でボクシングを始め、中大卒業後から鹿児島県鹿屋市に拠点を置く。ウエルター級で19年アジア選手権銀メダル、同年世界選手権ベスト8、東京五輪2回戦敗退。身長1メートル79の左ボクサー。

 ▽世界選手権VTR 坪井は2回戦で16年リオ五輪フライ級金のゾイロフ(ウズベキスタン)に3―2で判定勝ちして進撃。決勝は5―0判定で、11年大会ミドル級銀の村田諒太を超える日本勢金メダリスト第1号となった。岡沢は1回戦で3―2と薄氷の勝利。準々決勝で地元セルビア選手を4―1判定で退け、決勝では18歳のジョーンズ(米国)に3―2判定で辛勝して坪井に続き金メダリストとなった。

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2021年11月12日のニュース