田中恒成が12・11名古屋で再起戦「しっかり組み立てて倒します」 元日本王者・石田匠と激突
プロボクシングの元世界3階級王者・田中恒成(26=畑中)が24日、オンラインで会見し、12月11日に名古屋国際会議場で再起戦に臨むと発表した。52・5キロ契約10回戦で、相手は元日本スーパーフライ級王者の石田匠(29=井岡)だ。
昨年大みそかにWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(32=志成)に8回TKO負けして以来、約1年ぶりの試合へ「今の自分がどこまで通用するか楽しみ」と意気込む。昨年の年間最高試合にも選ばれたハイレベルな攻防はプロ16戦目の初黒星という結果に終わった。
「この1年間は、今まで勝ち続けてきた時とは違う1年。ボクシングがより深く分かったことがたくさんある。(以前と違い、今は)しっかり組み立てて計算高くできる。相手の動きや、その変化が見える。より見えることで感覚的なものが磨かれた。その野性的なもので10ラウンドの中で倒します」
初黒星で突きつけられた課題は防御面。その見直しに始まり、深く競技を追求するうちに改善点はどんどん増えたという。「課題のガードを高くして、いろいろ広がっていた。距離感とか攻撃の距離感も係わりトータルでレベルアップできた。今度の試合ではディフェンスのミスなく、最後にKOで仕留めきるところをを見せられれば」。抜群のハンドスピードとパワー、高い身体能力で世界3階級制覇という結果を残した。昨年大みそかの敗戦を糧に、いろいろな引き出しを増やし、ボクサーとしての完成度を高めた手応えがある。
相手の石田について「世界王者を除けば(国内の同階級で)いちばん実力と実績がある選手」と評価した上で「しっかり組み立てて10ラウンドの中で倒せたら」とKO宣言した。田中の取り組みを見守ってきた畑中清詞会長は「新しい田中恒成を見せてくれると思います。Reborn(再生)です」と期待を寄せる。
スーパーフライ級で田中は現在WBC7位、WBO9位につける。IBF5位の石田に勝てば、4階級制覇への選択肢が増える。「(どの団体でも)こだわりはない」と幅広くチャンスを求める構え。井岡一翔との再戦を望む気持ちは「全くないです」と話した。
今夏の東京五輪では兄・亮明がフライ級で銅メダルを獲得した。「兄の試合は自分が負けた(世界ベルトを失ったままの)時期と重なり、他の選手をあそこまで応援できたのは初めて。試合を見て感動したし、自分が生まれ変わりたいと、僕も感動を与えたいと思った」。兄からは人づてに“次はお前の番だ”と言葉をかけられているという。
今月22日には同じ名古屋市内にある緑ジムの矢吹正道(29)が寺地拳四朗(29=BMB)を破り、WBC世界ライトフライ級王座を獲得した。スパーリングで拳を交えた縁もあり「凄いッス。拳四朗選手は負けようがない絶対王者。矢吹さん純粋に凄い。尊敬します」と賛辞を贈り、新たな刺激をもらった様子だった。
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