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浜田剛史氏 同じ体勢から顔面もボディーも 尚弥のパンチは予測不能

[ 2021年6月21日 05:30 ]

WBA&IBF世界バンタム級タイトルマッチ12回戦   〇井上尚弥 KO3回2分45秒 マイケル・ダスマリナス● ( 2021年6月19日    米ラスベガス )

マイケル・ダスマリナス(左)を攻める井上尚弥(AP)
Photo By AP

 【浜田剛史の目】井上が1人で試合をやって、1人で終わらせた印象だ。控室の表情を見るとダスマリナスは井上を過剰に恐れていたようで、リング上では蛇ににらまれたカエルのように何もできなかった。中盤までは打ち合わずに足を使い、打っては離れる戦い方をしてくると思われたが、井上のプレッシャーに腰を引いて避けることを優先し、パンチも力がなかった。これでは動きが分かりやすく、井上は自分がやりたいように進められたのではないか。

 まともに当てたのはダウンを奪ったパンチだけ。だが、相手のガードが上がったところを狙ったボディーは全て効いた。相手もボディーは警戒していただろうが、井上はパンチ力に加えて、同じ体勢から顔面もボディーも打てるのが強みだ。カネロ(4階級制覇王者のサウル・アルバレス=メキシコ)が左ジャブの距離からボディーやフックを自在に打つように、井上も距離を詰めたりダッキングしたりすることなく、そのままの体勢から強いボディーを打てる。予測できない相手は耐えようとして腹に力を入れる間もないため、効いてしまうのだ。

 WBO王者カシメロの8月の対戦相手が、リゴンドーからWBC王者ドネアに変わったようだが、どちらが勝っても4団体統一を目指す井上にふさわしい相手だ。振り回してバランスを崩しても次のパンチを出せる意外性のカシメロに対し、ドネアが対応できるコンディションをつくれるかどうか。井上は心情的にドネアの応援だろうが、挑発を続けるカシメロとの対戦を見たいファンも多いだろう。(元WBC世界スーパーライト級王者)

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