×

浜田剛史氏が見た“夢の対決”「タイソン氏のスピードにビックリ」「コロナ禍の世界に勇気与えた」

[ 2020年11月30日 05:30 ]

マイク・タイソン氏VSロイ・ジョーンズ氏 エキシビションマッチ ( 2020年11月28日    米ロサンゼルス )

エキシビションマッチの3ラウンド、ジョーンズ氏(右)を攻めるタイソン氏(AP)
Photo By AP

 【浜田剛史の目】タイソン氏のスピードにはビックリした。全盛期と同じように自分から仕掛けていく戦い方は予想できたが、スピードはどうなのか、スタミナが後半まで持つのかは実際に見るまで分からなかった。ロイ・ジョーンズ氏もまずは様子を見て、後半のどこかで攻めるつもりだったように思う。

 だが、スピードで押され、常に圧力を受け続けたロイ・ジョーンズ氏はクリンチで連打を防ぐのが精いっぱい。後半は予想以上に疲れが出てしまい、息の上がり方でもタイソン氏とは差があった。チャリティーマッチのため引き分けという結果になったのだろうが、一発当たればという期待を最後まで持たせ、仮に打ち合っていたらダウンシーンが見られたかもしれない。

 タイソン氏のインタビューからは「54歳になってもこれだけやれることを証明できた」という満足感がうかがえた。1ラウンド2分と3分では違うと正直に話してもいたが、数カ月練習を積み重ねなければ体重を45キロも落とすことはできない。ロイ・ジョーンズ氏とは違い、タイソン氏はこの試合で「自分ができる」ことを見せなければいけなかった。ブランクからかなり苦労したと思うが、全盛期とは違って自分から望んで練習し、期待に応える動きも見せていた。

 昔のボクサーがチャリティーマッチなどで復帰すると批判されることが多い。だが、コロナ禍で苦しむ人が多い今、タイソン氏が身をもってボクシングファン以外の人々にも「年を取ってもやれる」「病気が治れば自分もできる」と勇気を与えられた事実は大きく、単なるイベントやバラエティー番組とは意味が違うと感じた。今後もリングに立つ可能性があるのではないか。(元WBC世界スーパーライト級王者)

続きを表示

2020年11月30日のニュース