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苦境打破へ常にプラスの発想 横浜光ジム・石井一太郎会長「やるためにどうするか、何ができるか」

[ 2020年4月18日 09:30 ]

横浜光ジム・石井一太郎会長
Photo By スポニチ

 「明けない夜はない」とか「止まない雨はない」と言うけれど…。一体いつまで続くのだろうか? 新型コロナウイルス感染拡大は、終息の兆しさえ見えず、緊急事態宣言は対象地域が7都府県から全国に拡大された。遊興施設、集会・展示施設、体育館やスポーツジムなどの運動施設も休業要請の対象となり、ボクシングジムは通常営業さえ難しい状況に追い込まれている。

 興行は現時点で5月末までは自粛。興行がなければ、記者もお手上げだが、嘆くばかりではネタやアイデアは浮かんではこない。そんな時にふと思い浮かんだのが、緊急事態宣言が発令される数日前に取材した横浜光ジム・石井一太郎会長(37)の言葉だった。

 「“やる”と言ってやらないのはアリだと思うんですよ。でも“やらない”と言ってしまったら何も始まらない。だから、やるためにどうするか、何ができるかを考えます」

 石井会長は新人王実行委員長として東日本新人王予選を今月5日に史上初となる無観客で開催する準備を進めていた。少しでも収益を挙げるため、動画共有サービス「YouTube」で試合を生配信、著名ボクサーのライブトークも同時配信し、チャット機能を活用した「投げ銭」などのアイデアを出し、実施に向けて動いていたが、選手や競技役員らへの感染を危惧する声もあり、開催は見送られた。

 計画は白紙に戻ってしまったが、石井会長はすぐに全日本新人王決定戦を来春へスライドさせ、7月下旬か8月上旬に予選をスタートさせる“次の一手”を打ち出した。無観客のために準備したライブ配信などの企画は、会場に足を運ぶ観客も楽しめるように新たな形を模索中。また、これまで2日に渡って行っていた準決勝をワンデー開催とし、決勝への気運を高めていく。今後の状況次第では進行中の計画も変更を余儀なくされる可能性もあるが、「ダメになっても次の準備していくだけ」と前向きだ。

 石井会長は09年に現役を引退後、横浜光ジムでトレーナーを務めていたが、前会長の死去に伴い12年に29歳の若さで会長に就任。所属選手を海外で日本未公認のタイトルに挑戦させ、一方で動画配信サイトA―SIGN.BOXING.COMを16年6月に開設するなど、これまでとは違った手法でジムを切り盛りしてきた。本人は「破れかぶれでしたね。あまり深く考えていない。やって痛い目にあって、そこから学んだものはあるけど」と振り返る。常にプラスの発想だからこそ、次々とアイデアは生まれるのだろう。

 現在は横浜光ジムも営業を休止しているが、活動再開に向けて構想を練っているはず。自分も何とか知恵を絞り、早く“開店休業”状態を脱せねばならない。(記者コラム・大内 辰祐)

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