×

村田、豪快KO初防衛!次はカネロ?ゴロフキン?20年五輪前に東京D夢決戦へ

[ 2019年12月24日 05:30 ]

WBA世界ミドル級タイトルマッチ   〇王者・村田諒太 TKO5回2分45秒 同級8位スティーブン・バトラー● ( 2019年12月23日    横浜アリーナ )

4R、バトラー(左)に強烈な右を打ち込む村田(撮影・島崎 忠彦)
Photo By スポニチ

 ボクシングのトリプル世界戦が23日、横浜アリーナで行われ、WBA世界ミドル級王者・村田諒太(33=帝拳)が同級8位スティーブン・バトラー(24=カナダ)を下し、7月に返り咲いた王座の初防衛に成功した。豪快な5回TKO勝ちで存在感をアピール。米プロモート大手トップランク社のボブ・アラムCEOは来年、東京ドームでWBAスーパー王者サウル・“カネロ”・アルバレス(29=メキシコ)、IBF王者ゲンナジー・ゴロフキン(37=カザフスタン)らとのビッグマッチ実現計画をぶちあげた。

 野心に満ちた24歳の挑戦者を力でねじ伏せた。序盤から打ち合う展開の中、村田はプレッシャーをかけ続け、5回終了間際にバトラーをとらえた。ロープ際に追い詰め、右を2発叩き込んだ後、豪快な左フック。バトラーが尻から崩れ落ちると、レフェリーが試合を止めた。

 「控室で調子が良く、倒せるかなと思って空回りしてしまった。そこは反省点。控室で良くて試合で結果が出ないというのは、往々にしてあること。それを乗り越えられたので合格点かな」。左目の周辺を紫色に腫らしながらもKO率80%の難敵を撃破した王者は胸を張った。

 この勝利で、昨年10月の王座陥落で一度は消滅したカネロやゴロフキンらミドル級トップ戦線の強豪王者たちとの対戦へ、大きく前進した。トップランク社のボブ・アラムCEOが試合後の会見に同席し、「次はミドル級で大きな試合を用意したい」と約束。「今、もくろんでいるのはカネロかGGG(ゴロフキン)と東京五輪の前に東京ドームで開催することだ」とぶち上げた。さらに「五輪の前後に2回できたらもっといいね。リョータは両方勝つと思っているよ」と続け、と片目をつぶってみせた。

 カネロが契約するゴールデンボーイ・プロモーションズのマッチメーカー、ロベルト・ディアス氏もバトラー陣営の一人として来日しており、試合後には控室を訪れて村田を祝福。「カネロもぜひ日本に来たいと言っている」と対戦に前向きな姿勢を示し、年明けにも交渉を始める意向を示した。

 「海外の方のリップサービスですから」と苦笑いした村田だが、ミドル級戦線のトップに君臨する王者とのビッグマッチはもちろん望むところだ。「今年は激動の一年だったけど、自分のボクシングを確立できた。今はこれで大丈夫だと思う」と手応えも感じている。リング上では帝拳の本田明彦会長に「来年はリアルな試合をお願いします」と呼び掛けた。2020年、かつては「かなえたい夢」だった「トップ・オブ・トップ」を目指す戦いは、村田にとって現実の目標となる。

 ▼帝拳ジム・本田明彦会長 村田はもう形ができているから、良いときはもっといい。もう次は大きい試合。待つよ。(2月にゴロフキン、5月にカネロが試合。ゴロフキンの方が近い?)違う、カネロの方が近い。カネロが5月にやりたい試合を村田に?という可能性もある。こっちはそれを望んでいる。どっちかに絞って。

 ▽サウル・“カネロ”・アルバレス ボクシング専門誌「ザ・リング」のパウンド・フォー・パウンド1位。今年11月のWBO世界ライトヘビー級タイトルマッチでKO勝ち。WBA世界ミドル級スーパー王座、WBC世界ミドル級フランチャイズ王座、WBA世界スーパーミドル級正規王座と合わせて3階級の王座を同時保持。ゴロフキンとは1勝1分け。56戦53勝(35KO)2分け1敗。

 ▽ゲンナジー・ゴロフキン 「ザ・リング」のパウンド・フォー・パウンド7位。現IBF世界ミドル級王者で04年アテネ五輪の銀メダリスト。KO率80%を超える破壊力を武器にリングを席巻。今年10月、王者に返り咲いた。カネロとの3戦目も噂される中、条件付きながら村田戦への興味と来日を宣言している。42戦40勝(35KO)1分け1敗。

 ▽村田―バトラー戦VTR 村田はガードを高く上げて、バトラーに圧力をかけた。1回こそほぼ互角だったが、ワンツーと右の連打で徐々にペースをつかみ、何度も相手をコーナーに押し込んだ。5回には右の強打を重ねてダメージを与え、最後は左のフックでマットに沈めた。バトラーはジャブを果敢に放った序盤の勢いを保てず、村田のパワーに屈した。

 ◆村田 諒太(むらた・りょうた)1986年(昭61)1月12日生まれ、奈良市出身の33歳。南京都高(現京都広学館高)―東洋大。11年世界選手権ミドル級銀、12年ロンドン五輪同級金メダル。13年8月プロデビュー。17年5月に世界初挑戦でエンダム(フランス)に判定負けも、10月の再戦で7回TKO勝ちしてWBA同級王座獲得。日本人五輪メダリスト初の世界王者に。18年10月にブラント(米国)に敗れて陥落も7月の再戦で王座に返り咲いた。身長1メートル83.5、リーチ1メートル90の右ボクサーファイター。家族は佳子夫人と長男・晴道くん、長女・佳織ちゃん。

続きを表示

この記事のフォト

2019年12月24日のニュース