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拳四朗V7!圧倒4回TKO 涼しい顔で奪ったダウン4度、粘る挑戦者に感心「まさか立つとは」

[ 2019年12月24日 05:30 ]

WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ   〇王者・寺地拳四朗 TKO4回1分8秒 同級12位ランディ・ペタルコリン● ( 2019年12月23日    横浜アリーナ )

3R、ペタルコリン(右)からダウンを奪った寺地拳四朗(撮影・島崎忠彦)
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 WBC世界ライトフライ王者・寺地拳四朗が4回1分8秒TKO勝ちし、国内歴代8位タイとなる7度目の防衛に成功した。代役挑戦者のペタルコリンをボディーで4度倒す圧勝で、リングネームを本名に変更した初戦をド派手に飾った。

 場内へ現役最多7度目の防衛を告げるリングアナのコールが新鮮だ。「ケンシロウ、テラジ~!」。プロのリングで本名を呼ばれるのはこの日が初めて。寺地は「長えと思った。聞き慣れてなかったので」と頬を緩め、「KOでいい形で締めくくれて良かった。一戦一戦勝てば13回(連続防衛)いける自信はあります」と宣言した。

 4度奪ったダウンは、全てボディーだった。腹部への攻撃が有効との事前情報を、2回の攻防で改めて確認。セコンドの指示もあり「そこから意識して強めに打った」。3回に右ボディーストレートをみぞおち付近にぶち込み、ひざまずかせた。さらに右で2度倒したものの立ち上がる挑戦者に「まさか立つとは…」と感心しながら「どうせ終わる」と切り替え、続く4回に仕留めた。「一番効くし当てやすい」と自信を持つ左ボディーで相手の右脇腹を下からえぐり、9までカウントしたレフェリーは崩れ落ちる挑戦者の姿に試合を止めた。

 本名の「寺地拳四朗」に改名したのは海外進出への布石でもある。「統一戦や海外で試合をする時に、ちゃんと名字があった方が日本人らしい」。来年は中国や米西海岸の興行に参戦するプランがあり、人気漫画「北斗の拳」の主人公ケンシロウにちなんだ名前を広く売り出す狙い。そのスタート地点を、華々しく飾った。

 防衛7度は日本人ライトフライ級では歴代2位タイで、全階級を通じてもスーパーフライ級時代の井上尚弥らに並ぶ日本ジム所属選手歴代8位。かねて父の寺地永会長は「最多防衛記録が第一目標」と公言しており、“具志堅超え”を狙う過程に統一戦を組み込む方針。当初、今回の対戦相手だったIBF王者フェリックス・アルバラード(ニカラグア)やWBAスーパー王者・京口紘人(ワタナベ)が標的となる。「ベルトが増えれば自分の価値が上がる。統一戦をやっていきたい」と、一層の飛躍を誓った。

 ▼浜田剛史氏 拳四朗はサウスポーの相手を左でうまくコントロールしていた。2回にワンツーをもらったが、すぐに自分の形に立て直した。今の戦い方のままでも防衛を伸ばしていけると思えるぐらい、完成度は高い。

 【データ】〇…寺地が7度目の防衛に成功。同じくV7の新井田豊、西岡利晃、井上尚弥、田口良一に並び歴代8位に浮上した。ライトフライ級では13回の具志堅用高に次ぎ、田口と並んで国内2位となった。
 〇…7度の防衛に成功した日本人世界王者のうち、KO防衛は井上の6回が最多。寺地は5回目で、西岡と並び国内2位。

 ▽寺地―ペタルコリン戦VTR 寺地が効果的なボディー攻めで快勝した。3回にロープ際でペタルコリンの腹部を打ち抜き、この回に合計3度のダウンを奪って一気に流れを引き寄せた。4回は挑戦者の反攻を避け、左ボディーで再度ダウンを奪ってTKO勝ちした。約1カ月前に挑戦者に決まったペタルコリンは2回に左の強打で見せ場をつくったが、防御が甘かった。

 ◆寺地 拳四朗(てらじ・けんしろう)1992年(平4)1月6日生まれ、京都府城陽市出身の27歳。奈良朱雀高―関大。アマ74戦58勝(20KO)16敗。14年8月プロデビュー。15年10月にWBCユース・ライトフライ級王座、同年12月に日本同級王座、16年8月に東洋太平洋同級王座を獲得。17年5月、プロ10戦目でWBC世界同級王座獲得。身長1メートル64.5、リーチ1メートル64の右ボクサー。

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