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アチョ~!!田中恒成がブルース・リー流でジャブの使い手に!?

[ 2019年12月2日 18:45 ]

WBO世界フライ級タイトルマッチ   王者・田中恒成―同級11位ウラン・トロハツ ( 2019年12月31日    大田区総合体育館 )

左ジャブで機先を制する田中恒成(左)
Photo By スポニチ

 3度目の防衛戦に臨むWBO世界フライ級王者の田中恒成が2日、名古屋市内の所属ジムで4回のスパーリングを公開した。相手を務めたジェイソン・ママ(22=フィリピン)は同じフライ級で、WBO世界ランクはトロハツより高い9位につけ、IBFでは5位(1、2位は空位のため実質3位)という猛者。田中はプレッシャーをかけつつ左ボディーや右ストレートを的確にヒット。好仕上がりをアピールした。10月下旬に来日したパートナーとの手合わせは、この日の4回を合わせて計21回に及んだ。田中は「やりたいことをしっかりできて、ボクシングとしては仕上がりつつある。しっかり体調を整え、大みそかはKOで勝ちたい」と力強く宣言した。

 今回のテーマは左ジャブの習熟だった。相手との距離を測り、機先を制して連続攻撃につなげる、あるいはけん制して相手の攻撃の芽を摘む、当て続けてポイントを稼ぐなどさまざまな用途があるリードパンチ。右構えを想定した「左を制する者は世界を制する」という格言で、その重要性が説かれる。

 既に世界3階級を制し、将来的に5階級を目指す田中が“基本”とも言えるジャブを改めて磨く理由は何か。

 「今までジャブで差し負けて1~2ラウンド目を取られることが多く、力づくでペースを取り返していた。そういう試合が続いていた。ジャブでいきなり1ラウンド目からペースを握れれば」

 今年8月のV2戦は同級1位の指名挑戦者ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)に7回TKO勝ち。しかし6回までの採点は4、2点差でジャッジ2人が挑戦者を支持する劣勢だった。さかのぼれば15年大みそか、同級4位ビック・サルダール(フィリピン)に6回KO勝ちでWBOミニマム級王座を初防衛した際はもっと追い込まれていた。5回にダウンを喫するなど、同回までの採点はジャッジ2人が挑戦者にフルマークをつけたほど。左ボディー一発による大逆転で場内を大いに沸かせた。

 劇的すぎる試合展開からの卒業に本人は手応えをつかんでいる。「ジャブに関しては打ち終わりの防御の意識。自分だけ当てて、もらわないように意識するだけで、できました」。アマで高校4冠を獲得し、プロでも世界最速タイの12戦目で3階級制覇を達成したエリートらしく、頼もしい言葉を吐いた。

 ジャブを磨く際の手本について問われると「何も意識していないです」と説明。ここで同席した父・斉(ひとし)トレーナーから「ブルース・リーです」と茶化されると、本人は「意識してないです」と重ねて否定。ただ、前夜も映画「燃えよドラゴン」を観賞し、「考えるな、感じろ(Don’t think.Feeling)」の名フレーズを味わった父によると、田中の幼少期、親子で空手に励んだ当時はブルース・リーのノーモーションで放つパンチを意識して指導したという。体に染みついたアクションスターの動きが現在の強さにつながっている、かもしれない。

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