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青木 ベルト奪われてもみなぎるチャレンジャーの闘志

[ 2019年6月16日 05:30 ]

青木(右)に襲いかかるリー
Photo By 提供写真

 アジア各国で人気急上昇中の格闘技団体「ONE Championship(ワンチャンピオンシップ)」のシンガポール大会が先月17日、開催された。メインイベントのライト級タイトルマッチでは王者の青木真也(36)が挑戦者のクリス・リー(20)に2ラウンドTKO負け。日本初開催だった3月の両国大会で戴冠したベルトを手放した。

 青木とリーはともにシンガポールのEvolve Gymに所属する同門。15歳離れた2人は激しいライバル心よりも、お互いを尊重し合う間柄だった。しかし、青木は3月にエドゥアルド・フォラヤンに勝ってライト級のベルトを手にすると、その日の記者会見で次戦の挑戦者にクリスチャンをあえて指名した。

 1ラウンドでは世界トップクラスのグラップラーらしくアームバーを深く決めたが、リーからタップを奪うまでには至らなかった。2ラウンドに突入すると体力を消耗したところに打撃で攻め込まれて、最後はレフェリーに割って入られた。地元出身のリーに大歓声が降り注ぐ中、悔しい敗戦となった。

 しかし試合後。青木はリング上で感涙するリーに歩み寄ると「マイキャリア、マイベルト、パス(自分のキャリアとベルトを渡す)」と新王者を飾らない言葉で称えた。その後もリーの控室に自ら足を運び「ボクがベルトを獲った時から、(負けるなら)クリスチャンに負けたかった。君がアジアのMMAを引っ張っていく選手だから」と激励。リーも格闘技界の尊敬する先輩の言葉に謙虚に耳を傾けていた。

 王座を失った後、青木はあらためてこう語った。「ボクが若いころはどんなに有望な若手選手がいても、年上の選手は試合をしなかった。そういうのをダサいと思っていたし、そうはなりたくなかった。ベルトを死守するよりも強い相手と闘いたい。守ったらダメだと思っています」。日本をけん引してきた格闘技界のパイオニアは、今もチャレンジャーの闘志をみなぎらせている。

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