【浜田剛史の目】尚弥の完勝劇 判断力&対応力 速さと強さの両立
ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ バンタム級トーナメント準決勝 〇WBA王者・井上尚弥 TKO2回1分19秒 IBF王者エマヌエル・ロドリゲス● ( 2019年5月18日 英国グラスゴー・SSEハイドロ )
私は1回の採点をロドリゲスの10―9とつけた。前へ出て先に手を出すロドリゲスに対し、井上は返しのパンチを出したところへ、さらに返されて焦りが感じられた。距離の測定もしないまま強く打とうとしていたため、バランスも崩していた。ロドリゲスとしては狙っていた通りのスタートだったと思う。
だが、井上は2回に距離を詰め、相手と同時に打つようにして流れを変えてしまった。打ち合いには危険がつきものだが、1回の攻防で自分のパンチの方が速く、打ち合って勝てると確信したのだろう。パンチ力の差は歴然としており、2回でなくてもいずれはKOしていたはずだ。それでも時間をかけずに自分の距離、ペースに変えた早めの判断と対応力が、2回での決着につながった。
ロドリゲスも高い技術を持っていたが、今の井上はパワーとうまさを兼ね備え、相手はどちらかで明らかに上回らないと勝つのは難しい。特に井上のパンチ力は160キロの速球を投げられる投手と同様、天性のものを感じる。筋力をつけ、打ち方を工夫することでパンチ力はある程度のレベルまでいくが、通常はパワーがつけばスピードは落ちるもの。しかし、井上は元々の武器であるパンチのスピードを落とさず、階級アップに従ってパワーもつけてきた。分かりやすく言えば、短距離を走る筋肉と、長距離用の筋肉を両方持っているような状態だ。
決勝はドネアとの対戦だが、上り調子の選手と一生懸命現役を続けている選手との違いが明らかに出るのではないか。ドネアには試合をひっくり返す一発があるが、井上にはパンチ力に加えて試合をつくれる力もある。(元WBC世界スーパーライト級王者)
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