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最強ボクサー・井上尚弥が唯一完敗した試合…その敗戦が怪物へのターニングポイントに

[ 2019年5月26日 22:50 ]

プロボクサーの井上尚弥
Photo By スポニチ

 プロボクサーの井上尚弥(26)が26日放送のTBS「消えた天才2時間半SP」(金曜後6・30)に出演。アマチュア時代、弱点を見抜かれ完敗した試合があったことを明かした。

 3階級を制覇し、最強の名をほしいままにしている井上尚弥。ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)準決勝ではIBF王者エマヌエル・ロドリゲスを259秒TKOで下し、今や向かうところ敵なしの存在となっている。

 そんな井上はアマチュア時代から他を圧倒。公式戦で40連勝を記録するほどで、高校生にしてアマチュア7冠の栄冠に輝いていた。

 しかし、そんなモンスター・井上が人生で唯一完敗した試合があった。それは全日本選手権決勝の舞台。そこで井上をして「完敗でした」と言わしめたボクサーがいた。その名は林田太郎さん(駒大)。彼は井上を破ったことにより、アマの全日本チャンピオンにまで上り詰めていた。

 「自分のスタイルつぶされて、何もできずに撃沈しました」と完敗した試合を振り返る井上。「(林田さんは)見た目はスゴく地味。その中にフィジカルだったり、力強さだったり、戦わなきゃ分からない強さがあって、自分よりかなり上だったんで」と、偶然ではなく、実力でねじ伏せられたことを認めていた。

 実は林田さん、当時の井上に対し「ここを攻めればという部分があって」と弱点を見抜いていたことを告白。その秘策が「ボディーブロー」だったという。顔の防御は徹底されていたこともあって「ボディーを中心に攻めた」そう。ボディーブローの数は60発にものぼり、なんと普段の4倍。さらに強くて速い井上のパンチに恐れることなく前に出て、接近戦に持ち込んだのもプラスとなったとか。その作戦が功を奏し、井上から勝利することができたという。

 しかし、翌年同じ全日本選手権決勝で両者がまたも激突。林田さんは前年と同じようにボディーを中心に攻めるが、パンチが思うように当たらない。林田さんいわく、井上は十分な対策を講じてきたようで「パンチを避けたり、ボディーブローをかわしたり、という部分で圧倒された」と、今度は林田さんが完敗を認める形になった。

 この敗北で「きっと(井上との)この差は埋まらない」と感じた林田さん。「井上がいるなら、この先ロンドン(五輪)にも出られないし、プロのチャンピオンにもなれないし、ボクシングを続けていく上で絶望(的)になった」らしく、自身の未来への希望が失われたという。

 一方、井上は林田さんとの試合に敗北したことで「練習に取り組む姿勢が変わった」そう。この敗北がないままプロ入りしていたら「プロで苦戦してます」と力説。この試合が井上というモンスターを作り上げたと言っても過言ではないだろう。

 林田さんは現在、母校駒大でコーチを務めており、後進の指導に当たっている。

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