【親子2代PL学園主将 新たな挑戦③】重なった親子の思い「稼がせるのが仕事」「自分の価値を再認識」

[ 2025年12月14日 08:40 ]

ロッテ・松山秀明チーフ内野守備走塁コーチ(左)と長男の松山和哉さん
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 戦うフィールドは異なる。だが思いは共通する。親子2代で名門・PL学園硬式野球部の主将を務めたロッテ・松山秀明チーフ内野守備走塁コーチ(58)と長男の松山和哉さん(31)。父は9年ぶりにロッテに復帰し、長らく優勝から遠ざかるチーム再建の一翼を担い、息子は昨年11月にスポーツ経験者をメインにした転職支援サービスを行う会社「FK.relations」(https://fkrelations.co.jp/)を起業。ビジネスの世界での成功を目指している。戦う場所こそ違えど目指す場所は同じ。紡いできた「絆」を背景に“親子鷹”でそれぞれの頂点を目指す。(②から続く)

 父親は9年ぶりに復帰したロッテで、21年ぶりの優勝を目指し、息子はビジネス界のレッドオーシャンへと力強く舟をこぎだした。

 29年目のコーチ人生。秀明氏のビジョンは明確だ。持っているものを、様々な出会いで持たせてもらったものをチーム、選手へと還元することを使命と考える。

 「自分の目標はないし、ゴールもない。選手と向き合う時間がある限り、ゴールはないよね。自分はダメだと思われたらクビ。それでいい。ただ、いいものを持ってこの世界に入ってくる若い子たちには稼がせてやりたい。プロとしての評価は年俸。稼げないならプロ野球に入った意味がないし、稼がすのが僕らの仕事」

 金銭を稼げる選手を育て、戦力の底上げを図る。稼げる選手たちが増えることが、結果としてチームの成績にも関わる。今季はソフトバンクの2軍監督を務めただけに「契約更改で、今まで関わった子が年俸何%アップとか、そういうニュースを見ると嬉しいよね」と教え子たちの成長が何よりの楽しみでもある。

 父は数々の名将の元で働いてきた。一方、息子の元には頼もしい“右腕”が合流した。大阪桐蔭で12年春夏の甲子園大会連覇を果たしたメンバー。会社を立ち上げると決めた際、関大で主将、副将の関係でともに戦った安井洸貴さんにすぐに連絡を入れた。総合商社で働いていた安井さんは、社の一員として加わることを即決。立ち上げメンバーの1人となった。和哉さんは「本来、あまり表に出るのは好きなタイプではないのですが、現状は、名前も高校名も顔も、全部出してやっています。皆さんに“こういう人たちがやってくれるんだ”と思ってもらえることが大事だと思うので。信頼されるために、全てをさらけ出して行こうと。そこは2人で決めて、やっています」と言う。歩んできた道のり、背負ってきた看板は今、大きな武器となりつつある。

 「自分にも経験があるのですが、野球を終えたときに、次のキャリアをどうするのか。スポーツに打ち込んできた人は、そのキャリアを追えて次に進むときに少なからず“何ができるのか?”と迷うときがあるんですよ。スポーツに打ち込んできた人間は社会の中でも大きな価値がある。実際に忍耐力、向上心や協調性、そして体力。スポーツをやってきた人たちにはこういった力が自然と備わっているケースが多いんです。それを再認識してもらうために、我々が少しでも背中を押せればと思っています」。父と同じく、社員、顧客、そして企業。関わった人たちが“稼ぐ”ことができるように、全力を尽くす。分野こそ違うが、親子の思いは重なる。

 秀明氏は「給料は払う方が大変。払う方のプレッシャーの方が大きい。その器になれるかどうかは息子次第」という。和哉さんは父がコーチ人生を始めた31歳で本格的な会社運営に乗り出した。「松山の息子と言われるのがずっとコンプレックスでした。今でもよーいドンで出て行ったら、まだ親父の方が有名ですよね。今でも“PLで野球をやっていた松山君ね?”“お父さんはプロ野球選手だよね?”と言われます。会社を大きくして、社会に貢献して“FK.relationsの松山君ね”と言われるようにすること。そこが一つのゴールです」と言葉に力を込めた。後ろは振り返らない。足が前に出る限り、常に全力で進み続ける。同じマインドを持つ親子2代のPL学園主将は、それぞれの目標に向けて力強く歩みを進めていく。(終わり)

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