【内田雅也の追球】神髄の「子どもたちのために」

[ 2025年11月28日 08:00 ]

<阪神納会>粟井球団社長(右)から若林忠志賞の表彰を受ける佐藤輝
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 阪神・佐藤輝明は子ども好きである。

 それは、甲子園球場でのイベント「スタメン・キッズ」で自分のポジションにやって来た少年少女に話しかける顔を見ていれば分かる。地元西宮市で毎年行っている少年野球教室での顔を見ていれば分かる。子どもたちを笑顔にしたいのだ。

 小児がん患者の支援団体、公益財団法人ゴールドリボン・ネットワークへの寄付活動も行っている。本塁打1本につき10万円。一昨年から始め、3年間で80本塁打。総額800万円にのぼる。

 27日にあった若林忠志賞の授与式。ホテル阪神大阪での球団納会の段上で球団社長・粟井一夫から「若林忠志氏の精神を承継するもの」という表彰状と記念盾、賞金100万円、活動資金100万円を受け取った。

 「大変名誉な賞を受け、感謝申し上げます」と佐藤輝はあいさつした。「皆さんも活動をされているかと思います。僕の場合は少年野球と小児がんへの寄付です。社会人として何かできないかと思い、やっています。プレーでも子どもたちに夢を与えられるよう、がんばっていきます」。球団役職員、監督・コーチ、選手……計約200人から拍手がわき上がった。

 子ども好きの本塁打王である。ベーブ・ルースを思う。病床の少年を見舞い「君のためにホームランを打つ」と約束して本当に打ってみせた。球場で子どもたちにホットドッグを振る舞った。児童養護施設を訪れ、靴やおもちゃをプレゼントした。引退後は財団を設立し、恵まれないチャリティー活動を行った。

 佐藤輝は「ベーブ・ルースのようだ」と言われたことがある。2022年2月14日、キャンプの休日にOBの鳥谷敬に同行して沖縄県立こども医療センターを訪れ、入院中の60人の子どもたちにユニホームやグッズをプレゼントした。「ホームランを何本打ちますか?」という質問に「100本打ちます!」。この時、同院院長は「ベーブ・ルースを思いました。子どもたちを励ましてくれて、似てるなと思いました」と話した。

 自費でタイガース子供の会を立ち上げるなど、同賞の由来となった若林忠志は戦後、焼け野原に立ち、「子どもたちに将来を託したい」と恵まれない子どもたちへの支援に熱心だった。

 ルースも若林もそうだったように「子どもたちのために」はプロの神髄である。 =敬称略= (編集委員)

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