【鷹論】生海「明日、何かが変わるかもしれん」可能性を信じることから…

[ 2025年10月21日 06:00 ]

タマスタ筑後で打撃練習するソフトバンクの生海
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 「明日、何かが変わるかもしれん」。生海選手の言葉に、胸がぎゅっとなった。記者としてタマスタ筑後に通うようになってからの5カ月間、彼はどんな時でも前向きで、ファンの方が思い浮かべるであろう優しい笑顔は今も健在だ。

 24年1月の自主トレ中、打球が左側頭部に当たり脳挫傷と診断された。1年9カ月が経過した現在も、日によってはひどい頭痛やふらつきがあるという。日々のノルマは、練習日には球場へ向かうこと。バットが振れない時は球場内を歩くだけでも120点だ。

 10月10日、ルーキーイヤーの23年以来となる約2年ぶりにみずほペイペイドームでプレーした。3軍の練習試合に2試合連続指名打者でスタメン出場。1戦目だった社会人・西部ガス戦で逆転2点適時打を放ち「出られただけでも最高です。ヒットはプラスアルファです!」と屈託のない笑顔を見せた。しかし10月前半は体調が優れず、睡眠薬の量を増やしても1時間ほどしか眠れない日が1週間以上続いていたと、試合後数日たってから話してくれた。

 不安になった時、励まされた言葉があると教えてくれた。「和巳さん(斉藤3軍監督)に練習後に呼ばれたんです。15分くらい話して“ちゃんと前に進んでいるから大丈夫”と言ってもらって。凄く楽になりました」。兄さんのような存在だという斉藤3軍監督の一言に、救われた。

 真っすぐな目で「絶対に1軍に戻ります。絶対に忘れない、戻るので」と誓う。振り返れば1年前の今ごろは、毎朝記憶がないほどの頭痛に襲われ、復帰は考えられなかったという。優勝に向かって戦う仲間の試合も見られなかった。転機は昨年11月。検査入院中にワールドシリーズに出場する大谷翔平選手の姿を見て“野球をやりたい”という気持ちが戻ってきた。退院後は体調の良い日が多くなり「(回復は)気持ちの問題だったんですかね?」と笑った。本当にそうならば、先日の本拠地でのプレーは、一番の薬になったのかもしれない。

 生海選手との会話には“一歩一歩”という言葉が何度も出てくる。小さな一歩だったり、時には後ろに一歩後退してしまう日もあるだろう。長いリハビリの中で、毎日頑張れる理由を聞いてみた。「明日ボールが見えるかもしれない。明日いきなり良くなるかもしれない。明日、何かが変わるかもしれん」。可能性を信じることから、全てが始まる。 (昼間 里紗)

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