ドラフト隠し玉!ロマン秘めた幸福の科学学園のドミニカコンビ 木製順応22発大砲&頭脳明晰巧打の捕手
フリーライター「菊地選手」発掘企画(上)
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23日のドラフト会議を待つのは、上位指名候補の選手だけではない。素質と将来性でプロ入りを狙うことができる「金の卵」は、日本各地に多く存在する。フリーライターの菊地選手(43)が全国を駆け回って“発掘”した「隠し玉」を紹介する企画。第1回は幸福の科学学園(栃木)のドミニカ共和国出身の長距離砲、エミール・セラーノ・プレンサ外野手(17)ら3選手だ。
無限の可能性を秘めたドミニカン。今夏の栃木大会3回戦・小山西戦での大暴れが印象深い。1点を追う9回裏に起死回生の同点ソロ。さらに延長11回にはカーブをすくい上げるようにして、サヨナラ満塁弾を左翼席へと放り込んだ。
父は中日などで投手として活躍した右腕のドミンゴ・グスマン氏。中日時代の恩師である森繁和氏(本紙評論家)が幸福の科学学園の特別コーチを務める縁から来日した。エミールは父について「めっちゃ面白い」と語る一方、現役時代のプレー姿を見ていないという。父からは投球ではなく、なぜか打撃ばかり指導を受けたそうだ。18打席連続三振という世界ワースト記録を持つドミンゴ氏の愛息が、超高校級の怪力スラッガーに成長するのも不思議な運命だ。
本格的な野球歴はまだ5年しかない。春からエミールのプレーを見てきたが、力任せにバットを振り回していた春とはうって変わり、現在はスムーズに木製バットを振りこなすまでに急成長している。さらに日本語の習熟度も進化しており、愛くるしい笑顔もあって学校内でも大人気だそうだ。NPBの中にはドミニカから若手選手を獲得し、育成しようと試みる球団もある。そんな球団にとって、日本語ができるエミールの存在は魅力的なのではないか。
日本のプロ野球で活躍し、ジャパニーズドリームを果たしたら何をしたいか。そう尋ねると、エミールは無垢(むく)な瞳を真っすぐこちらに向けて、こう答えた。
「食べ物に困っているドミニカの子供たちにお弁当を配りたい。“あなたもできるよ”と勇気を与えたいです」
将来的にドミニカ共和国からの留学生だらけの高校を日本につくり、甲子園に出るという仰天プランも練っている。潜在能力も発想力も規格外。エミールの巨体には、無尽蔵のロマンが詰まっている。
◇エミール・セラーノ・プレンサ 2007年(平19)11月7日生まれ、ドミニカ共和国サントドミンゴ出身の17歳。13歳で野球を始め、23年に来日して幸福の科学学園入学。高校通算22本塁打で規格外のパワーで高校野球ファンの度肝を抜いた。父は中日などで活躍したNPB通算30勝のドミンゴ・グスマン氏。1メートル89、110キロ。右投げ右打ち。
≪高校通算7発も光る高いコンタクト能力≫幸福の科学学園にはもう一人、ドミニカンの怪素材がいる。天真らんまんなエミールに対し、頭脳明晰(めいせき)なユニオール・エルイン・ヌニエス・ジャケス捕手(17)。思考力が高く、日本語の習熟スピードはエミールよりも数段速かった。棚橋誠一郎監督は「将来、ユニオールには日本とドミニカ球界の架け橋になってもらいたい」と期待を口にする。
高校通算本塁打は7本。エミールの22本と比べると少ない。しかし、全身がスムーズに連動する打撃フォームでコンタクト能力は高い。高校野球引退後はフィジカル面がたくましさを増し、比例して打球に勢いが出てきた。変な癖がないだけに、高校卒業後に大化けする可能性も十分ある。「日本の方がチャンスがあると思った」と強い覚悟を持って来日して3年。開花の日は、もうすぐだ。
◇ユニオール・エルイン・ヌニエス・ジャケス 2007年(平19)11月28日生まれ、ドミニカ共和国ラ・ロマーナ州出身の17歳。23年にエミールとともに来日し、幸福の科学学園に入学。高校で捕手転向。癖のないスイングで通算7本塁打。思慮深い性格で、棚橋誠一郎監督から「哲学者」と呼ばれる。1メートル85、94キロ。右投げ右打ち。
≪大正大・田中渓樹、東都3部の最速152キロ右腕≫東都3部リーグにこれほどの逸材が潜んでいたのか…。大正大・田中渓樹(けいたつ=21)を初めて目にして、私は戦慄(せんりつ)した。たくましい体つき、最速152キロの剛球、カーブなど縦の鋭い変化球。何よりマウンドでの泰然としたたたずまいは、エースの風格があった。中学、高校と控え内野手で、大学進学後に投手に転向した選手とは思えなかった。
黒田博樹氏(元ドジャース)の大学時代も、こんな感じだったのではないか。黒田氏も高校では控えで、専大進学後に才能を開花させている。そんな印象を伝えると、田中は「黒田さんがファイティングポーズを示し続ける大切さを語っていて、それを参考にしたのもピッチングが良くなったきっかけの一つです」と明かした。
右肩のインピンジメント症候群を発症した影響もあり、今季は短いイニングのリリーフに終始。もともと「プロ一本」と決めていたが、プロ志望届提出期限を前に「迷っています」と口にする。どんな選択をするにしても、この大器はいずれ脚光を浴びるはず。そんな予感がしてならない。
◇田中 渓樹(たなか・けいたつ)2004年(平16)1月30日生まれ、東京都出身の21歳。世田谷西シニア、関東第一では内野の控え。大正大で投手に転向し、3年秋に東都3部で4勝をマーク。最速152キロの剛速球とカーブ、スライダー、フォークなどを操る。今季は右肩のコンディション不良もあり、リリーフに徹する。1メートル83、93キロ。右投げ左打ち。
◇菊地選手(きくちせんしゅ)1982年(昭57)生まれ。本名・菊地高弘。雑誌「野球小僧」「野球太郎」の編集部員を経て、15年4月からフリーライターに。ドラフト候補の取材をメインに活動し、ツイッター(現X)上で「大谷翔平」とツイートした最初の人物(10年10月8日)。19年3月出版の著書「下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル」は23年放送のTBS日曜劇場「下剋上球児」の原案となった。
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