【内田雅也の追球】4盗塁に見た陰の努力

[ 2025年8月4日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神1―8ヤクルト ( 2025年8月3日    神宮 )

<ヤ・神>7回、近本は二盗を決める(撮影・大森 寛明)
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 阪神はヤクルト先発の奥川恭伸を攻め切れなかった。7回まで毎回走者を出しながら、得点は大山悠輔ソロの1点だけだった。得点圏に進んだ走者たちは誰も本塁に還ることができなかった。

 塁上の走者たちはよく走った。今季最多タイの4盗塁(3度目)を記録している。ただ、盗塁で好機をつくった後の打順の巡りが悪かった。

 2回表は四死球で出た小幡竜平、梅野隆太郎がともに二盗を決めたが、2死二、三塁で投手のジェレミー・ビーズリーに回って一ゴロ。4回表は2死から高寺望夢が四球で出て二盗を決めたが、梅野は申告敬遠され、再びビーズリーが三ゴロに凡退していた。

 残る1盗塁は1―5と点差が開いた7回表、近本光司の二盗だった。阪神4度走って、すべて成功させていた。

 阪神は今季、奥川と過去2度対戦し、いずれも盗塁をからめて勝利していた。4月15日(松山)では梅野が2年ぶりに盗塁を決めた。5月3日(甲子園)で中野拓夢2、小幡、熊谷敬宥と4盗塁して攻略していた。

 実は開幕前3月18日のオープン戦(神宮)で阪神は奥川から走れる感触をつかんでいた、と当欄で書いた。いずれも打者が打って二盗は幻に終わったが、中野、佐藤輝明が完璧にモーションを盗んで走っていたからだ。当時、外野守備兼走塁チーフコーチ・筒井壮に尋ねると「作戦のことを言うわけないじゃないですか」と笑っていた。

 奥川はクイックモーションが速く、投球タイムは平均1・1秒台。走りづらい投手で、昨季は登板7試合で相手の盗塁企図は3度しかなかった。

 ところが今季の阪神は投球やけん制の癖か傾向か、何か走るコツをつかんでいるようだ。

 試合はビーズリーが肝心の投球で乱調、なかなか梅野が構えたミットにボールがいかなかった。4回裏、村上宗隆に先制打を浴び、2番手・門別啓人も村上に一発を浴びた。最後は1―8の大差ですっきりと敗れた。

 首位独走、貯金独占の現状では痛くもかゆくもない1敗である。

 それより4盗塁を評価したい。癖を見抜けば、投手は直し……とイタチごっこを繰り返すものだが、阪神は春先から今も奥川から走る何かをつかんでいる。先乗りスコアラーなど裏方やコーチ陣の分析など、日々の隠れた努力が垣間見えた気がしている。 =敬称略=
 (編集委員)

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