【センバツ】智弁和歌山はノーサイン返し 近畿勢“最後のトリデ”が8強不在を阻止

[ 2025年3月26日 06:00 ]

第97回選抜高等学校野球大会第8日 2回戦   智弁和歌山9―4エナジックスポーツ ( 2025年3月25日    甲子園 )

<エナジックスポーツ・智弁和歌山>勝利してアルプススタンドへ向かって駆け出す智弁和歌山ナイン(撮影・岸 良祐)
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 2回戦3試合が行われ、8強が出そろった。智弁和歌山(和歌山)は、エナジックスポーツ(沖縄)を9―4で制し、2019年以来6年ぶりに準々決勝に進んだ。初回に「1番・中堅」の藤田一波外野手(3年)がノーサインで三盗を決め、先制の生還。相手の「ノーサイン野球」のお株を奪って13安打9得点の猛攻につなげ、13年以来12年ぶりとなる近畿勢の8強不在を阻止した。

 目には目を、ノーサインにはノーサインを――。初回先頭で左前打を放った藤田は、次打者の犠打で二進。二塁走者として、3番打者・山下晃平への初球だけで相手左腕・久高颯についての予習と実際の投球動作を照らし合わせた。

 「相手の癖が2つ分かっていて、1球目をそのうちの一つで投げていた」

 1ストライクからの2球目。投手が捕手側に顔を向けたと同時に三塁へ駆け出し、ノーサインで三盗を成功させた。3球目が二ゴロとなった間に先制の生還を果たした。ノーサイン野球を掲げる相手のお株を奪うノーサインの“足攻”で翻弄(ほんろう)。初回から4イニング連続得点につなげ、主導権を握った。

 「試合前に“勇気と覚悟を持っていけ”と言った監督の言葉が印象に残っていた。2球目も同じ癖で投げると考えて、失敗を恐れずに勝負したことが良い結果につながりました」

 「ノーサイン返し」には確かな根拠があった。2日前のミーティング。藤田が選手を前に説明した。「三盗いけるぞ」。同校では、打撃や走塁部門など複数班に分かれて相手チームの特徴を分析する。走塁担当の藤田は、奥雄大や黒川梨大郎らと至学館との1回戦や昨秋九州大会など計5試合の投手の映像を徹底的に研究。投球動作に入るタイミングの癖を調べ、藤田が代表してチームに共有した。

 指導者やメンバー外選手ではなく、ベンチ入り選手を中心に分析するのも同校の特徴。元阪神の中谷仁監督がプロ野球選手時代、連日の試合と相手チームの分析を並行して進めた経験が基になっている。同監督のモットーは「試合前にできることは全て準備し、試合では思い切ってやるだけ」を意味する「準備野球」。それが甲子園での「ノーサイン返し」として結実した。

 近畿勢では8強に唯一残った。「相手はノーサインと言っても、起こり得ることは限られている。それを想定しながら冷静に対処できました」と藤田。新興校に見せた初回の盗塁に、名門校たるゆえんが凝縮されていた。  (河合 洋介)

 ≪140キロ超トリオ≫
 ○…智弁和歌山は、「140キロ超右腕トリオ」の継投で「ノーサイン野球」の反撃を4失点でしのいだ。最速143キロ右腕・渡辺颯人が先発で4回を2失点。同145キロ右腕・田中息吹は2番手で2回無失点とした。9―2の7回からは、同152キロ右腕の宮口龍斗が3回2失点で「思うような投球ができなかった。初めての甲子園で緊張しました」と振り返ったが、この日は最速151キロを計測したように球威は十分。「修正して次は良い投球ができるようにしたい」と見据えた。

 ○…智弁和歌山が勝利し、2013年以来12年ぶりとなる近畿勢の8強不在を阻止。近畿勢から8強に1校しか残らなかったのは、15年大阪桐蔭(大阪)以来10年ぶり。

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