【スポニチスカウト部(5)】東大・渡辺向輝投手 プロへ掲げた第一関門「大学侍候補選出」

[ 2025年3月4日 06:00 ]

エースとしてリーグ戦2勝を誓う東大・渡辺
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手の素顔を紹介する。第5回は東京六大学野球リーグに所属する東大の下手投げ右腕・渡辺向輝投手(3年)。元ロッテ・渡辺俊介氏(現日本製鉄かずさマジック監督)の長男は、プロ入りを視野に入れている。

 注目の進路はプロか、一般就職に絞った。渡辺は今春リーグ戦で第1戦に先発するエースを担う見込み。今年の始動日だった1月12日、東大野球場のネット裏で取材に応じ、穏やかに最終学年を迎える心境を明かした。

 「期待してもらえることが多いので応えられるように頑張り続けたい。(進路は)まだ決めていません。野球を続けるのならばプロだと思います」

 全国から逸材が集う東京六大学野球リーグで、文武両道を貫く東大。渡辺は昨年、1年を通して安定した成績を残した。春季リーグ戦は全て中継ぎで8試合に登板し、防御率2・45で信頼を勝ち取ると、先発に転向した秋は6試合で36回1/3を投げ、1勝4敗で防御率は3・72。特筆すべきは9月21日の明大戦。宗山塁内野手(楽天ドラフト1位)ら強打者が並ぶ相手に8回4安打無失点。打線の核となる宗山も2打数無安打1死球に封じた。実績を積み重ねた飛躍の年とするも「(秋に)東大がリーグ戦で勝った2勝は両方とも第2戦で勝っていて、相手のエースピッチャーと対戦して勝てたわけではない。そこで一つ成長したい」と慢心しない。第1戦のエース対決を制し主導権を握ることが、勝ち点(2戦先勝)獲得の鍵だ。

 最難関の東大に現役合格した頭脳を持つ渡辺。プロ入りへのロードマップははっきりしている。「目安は大学日本代表の候補合宿に選ばれること。そこを一つ乗り越えられたら(プロ志望届を)出すかなというふうに考えています」と高くハードルを設定。今年は日本開催の日米大学野球選手権が7月に予定されており、その候補に選出されることを最低条件とした。「社会人野球はレベルが高いことは知っていますが、社会人で野球を続けるよりは(野球をやめて)一人の大人として仕事がしたい」とプロ入りできなければグラブを置く覚悟。「社会人に野球で進むと父親と同じ経歴になってしまう。もし野球を続けるならば、(父を)超えたい」と大きな背中を追う。

 父は国学院大から新日鉄君津(現日本製鉄かずさマジック)を経て、00年ドラフト4位でロッテ入り。地面スレスレのアンダースローから繰り出す「ミスターサブマリン」は通算87勝を挙げ、WBC日本代表に2度も選ばれた輝かしい実績を持つ。同じ下手投げ右腕の渡辺は意外にも「あまり参考にしてこなかった」と言う。昨年は直球、スライダー、シンカーが持ち球。プロ入りを意識して、初めて父が武器にしてきた緩いカーブ習得の必要性を感じた。父のカーブは一般的な落ちる軌道ではなく、浮き上がるように曲がる特殊な軌道を描いていた。「カーブがあるとうまく(空間の)前後を使えるようになる。ギリギリまでカーブと分からないようなボールであるか、バッターの意見を聞きながら練習していきたい」と誓った。

 「一番経験がある投手だと思うので後輩を引っ張っていきたい。(個人で)シーズン2勝は絶対にしたい」と渡辺。全国でも珍しい変則だけに目標をクリアできれば、大学ジャパン入りが見えてくる。(柳内 遼平)

 ☆球歴 高洲北小3年から野球を始める。海城中を経て、海城高(東京)2年秋から背番号1を背負ったが、3年夏は2回戦敗退。東大では2年春にリーグ戦デビューし、通算成績は16試合で50回1/3を投げ、1勝4敗。防御率3.93。

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