大院大高が大阪大会初V 今秋ドラフト候補の遊撃手・今坂が言葉でプレーで引っ張った

[ 2024年5月13日 05:30 ]

高校野球春季大阪大会決勝   大院大高4―1興国 ( 2024年5月12日    大阪シティ信用金庫スタジアム )

<興国・大院大高>春季大会で優勝し、記念撮影する大院大高ナイン(撮影・後藤 大輝)
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 春季高校野球は各地で決勝が行われ、大阪大会は大院大高が興国を4―1で下して初優勝を飾った。今秋ドラフト候補で「3番・遊撃」の今坂幸暉内野手(3年)は、2安打1打点の活躍で優勝の立役者となった。奈良大会は天理、和歌山大会は智弁和歌山が優勝し、近畿大会出場(25日開幕、明石トーカロ)を決めた。

 大院大高の今坂が先頭に立ち、大阪に強烈な新風を吹かせた。さかのぼること8カ月前、昨秋の3回戦敗退を受け、主将の今坂が選手に伝えた。「全員が日本一を目指さないと勝てない」。プロ注目の逸材である今坂らと、他の選手との間で目標の差が生じていた。そこで冬場にミーティングを繰り返し、「甲子園優勝」と口にし続けた。そして真価の問われる春を迎えた。

 今坂が選手を勇気づけた。厳しくマークされる中で今大会通算打率・500(26打数13安打)、11打点と打ち続けた。決勝戦では0―1の4回1死二塁で右前へ同点打を放つなど2安打1打点の活躍で頂点に導き、「冬の間に勝負強さを意識してきたので、いい結果につながってよかったです」と胸を張った。

 同校ではゴルフ部やサッカー部などが全国大会で結果を残す一方、野球部は甲子園出場1度と苦戦続きだった。そこで学校を挙げて強化に着手。22年12月に外野一面人工芝の練習場が完成し、最新機器がそろうウエートトレーニング室も新設された。ともに20校以上から勧誘を受けた今坂や正捕手の志水那優(3年)ら好選手も入学。そして今春、09年夏のPL学園以来15年ぶりに同一大会で大阪桐蔭と履正社から勝利を挙げ、頂点に立った。

 昨年3月に就任し、ノーサイン野球を貫く辻盛英一監督は「野球部を強化すると言ってくれた高校に少しは恩返しできたかな」と安どした。大阪では16年から7大会連続で大阪桐蔭か履正社が夏の甲子園に出場中(18年は大阪桐蔭と近大付が出場)。2強と目されてきた夏の大阪を面白くさせる春の嵐となった。 (河合 洋介)

 ◇今坂 幸暉(いまさか・ともき)2006年(平18)10月19日生まれ、山口県下関市出身の17歳。小2から山口下関ボーイズで野球を始めて二塁手。小3から中学までは苅田ボーイズに所属。大院大高では1年夏に背番号19でベンチ入りし、1年秋から背番号6。50メートル走5秒9、遠投115メートル。1メートル78、80キロ。右投げ左打ち。

 《興国は無念の逆転負け》興国は1979年以来45年ぶりに臨んだ決勝で敗れ、62年ぶりの優勝を逃した。1―0の4回に一挙5安打4失点を献上し、元ロッテの喜多隆志監督は「今坂君の安打から空気が変わり、ペースを乱された」と振り返った。準決勝までの6試合で計3失点の堅守を武器に準優勝。「失策が大量失点につながると言い続けてきた。守備を鍛え直したい」と夏を見据えた。

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