侍審判員 マイナーで松井秀喜氏に遭遇 12年目、メジャー寸前「これで終わり」の非情通告
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夢のメジャーリーグまで、あと一歩だった――。23年シーズン限りで米国メジャーリーグ傘下の3A審判員を退職し、現在はカナダのトロントに在住する松田貴士(たかひと)さん(35)が、マイナーリーグ審判員として過ごした激動の12年間を振り返る。最終回の第3回は2Aで松井秀喜氏と出会った思い出、12年目に迎えた自身の契約満了などについて語る。(聞き手 元NPB審判員、アマチュア野球担当記者・柳内 遼平)
――米国マイナーリーグで審判員として12年間過ごし、一番印象的だったことは。
「2Aの時にヤンキース傘下で、巡回コーチをされていた松井秀喜さんにお会いしました。私が球審をしている試合で松井さんがベンチ入り。巡回コーチはメジャーと同じユニホームを着ていた。松井さんの姿を見ることで“やっぱり、いま自分はアメリカにいるんだ!”と思いましたね。ただ、その試合で私が打者に退場宣告をしたんです。それでも松井さんには(退場宣告への文句を)何も言われませんでしたね」
――日本、そしてメジャーでも活躍された大打者の松井さん。出会えたことは貴重な体験。
「試合が終わった後、ベンチ裏で松井さんにあいさつに行って、ペコペコしていたら周りの選手にめちゃくちゃ笑われました。“日本人って本当にお辞儀するんだ”って。なんか日本人にとって“尊いこと”みたいな感覚はあるみたいなんですけど、本当にお辞儀しているところを見て驚いたようです。松井さんとお会いして“やっぱりデカい!”と思いました」
――松井さんと会えることは知っていたか。
「ヤンキース傘下2Aの監督もジェイ・ベルという人で有名な方。その方は優しさも見せてくれる人で“松井が来たら教えてやるよ”みたいな感じで前々から言われていました。ニュージャージー州トレントンでの試合で巡回コーチの松井さんが来て、その時は加藤豪将くん(現日本ハム)もヤンキース傘下にいたので、そのゲームでは私と合わせて3人も日本人がいたことになりますね」
――そんな試合で退場宣告は印象深い。
「ナイトゲームでした。ストライク判定で打者が文句を言って退場させた形でしたね」
――21年には3Aに昇格。カテゴリー的にメジャーリーグまであと一歩。どんな心境だったのか。
「そうですね。3Aではアリゾナフォールリーグに選ばれることが次のステップになります。そのリーグでは4人制クルーが3組。3A審判員45人の中から、その12人の枠に選ばれなければいけない。選ばれることだけを考えてやっていました。選ばれた中からスプリングトレーニングに招待され、その中から(メジャーリーグの)袖番号を得て、公式戦に出るメンバーに入っていく、という細かいステップがあります。メジャーリーグの試合に出る審判員がたまに3Aの試合に来た時は、普段の3人制と違って4人制でできるんです。この人たち一緒に試合を担当する時は“いろいろな知識をできるだけ吸収する”という感覚でやっていました」
――23年シーズン限りで契約満了になり、マイナーリーグ審判員としてのキャリアが終了。通告はどのような形だった。
「電話が来たのは10月の1週目、10月4日ですね。朝に電話が来て審判の評価担当者から“キャリアはこれで終わりだ”と。それで終わりでしたね」
――最後のシーズンの手応えはどうだった。
「判定では間違いが少なかった。退場宣告なども自信を持ってやれていた。メジャーに誰が上がるかは、政治的な話しも絡む。だからそこに割って入っていくのはとても難しい。パフォーマンスに手応えがありながらも“難しい”とは感じていました」
――現在はカナダのトロント在住。X(旧ツイッター)ではルールの情報などを周知している。今後の活動は。
「審判員時代のオフシーズンにもやっていた宅配、造園業の仕事をやっています。いろいろ考えたんですけど、マイナーリーグで10年以上やりましたし、日本人にはなかなかない知識の独自性があると思う。それを伝えていきたいと思っています。審判員を続けた方がいいなという感覚もある。当初はアメリカの独立リーグに行く予定だったんですけど、今年はビザが出ない見通し。将来的には世界の野球リーグでジャッジしたい。欧州にも野球リーグがあるので、そこで審判員をした上で、伝えられることがあればと思います。野球に限らず日本の若い人たちに“日本から飛び出したら、こんな機会がある”と伝えることができるかもしれませんね」(全3回完結)
◇松田 貴士(まつだ・たかひと)1988年7月14日生まれ、愛媛県西予市出身の35歳。小3から豊中リトルリーグで野球を始め、宇和中では軟式野球部に所属。八幡浜(愛媛)では捕手としてプレー。高知大では2年冬まで野球部に所属し、3年春から四国アイランドリーグ・高知でスコアラーを務め、同年途中から11年まで同リーグの審判員を担当。12年に米国の審判員学校に合格し、ルーキーリーグでキャリアをスタートさせ、21年にはメジャーリーグまであと一歩の3Aに昇格。23年シーズン限りで退職した。尊敬する人は野茂英雄、イチロー。1メートル76、65キロ。現在はトロントに在住。X(旧ツイッター)アカウントは松田 貴士(まつだ たかひと)「@T_Matsuda44」
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