日本ハム・万波は今も「下積み期間」 付け加えた一言に感じた変わらぬ謙虚さ

[ 2024年3月10日 08:00 ]

タッチアップ練習する万波
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 言葉の節々から、彼の謙虚さが伝わってきた。日本ハム・万波中正外野手(23)のことだ。今月6日からスポニチ北海道で新連載コラム「万thly日記」がスタート。2月の春季キャンプ中に1回目の取材を担当したのだが、慎重に言葉を選びながら、時折、自分を律することを忘れない姿勢がとても印象的だった。

 今キャンプ期間中、明らかに万波のユニホームを着用したファンが多かった。その話題を振ると「やっぱりサインとか書いていたらすごい僕も感じる。それは今までと比べたら、本当に多くなったなと」と振り返る。そして「ユニホームの数とか増えてくるのは、ずっと下積みしていた時…」と、話している最中にこう付け加えた。

 「今もそういう時期だとは思いますけど」

 昨季はリーグトップと1本差の25本塁打を放ち、オフには自身初のゴールデングラブ賞を獲得。侍ジャパンにも選出され、間違いなくチームの中心選手として成長を遂げた。そんな活躍をしても、まだ万波の中では「下積み期間」という認識なのだ。その謙虚さに感心しながら、万波らしいなとも思った。

 謙虚さを持ち続ける心理を読み解くと、過去の苦い経験があったからだと思う。横浜高時代に「スーパー1年生」と騒がれながら、高3春に極度の打撃不振に陥った。3年夏の甲子園でも満足のいく結果は残せず、過去に「自分で言うのもあれですけど、プロ入りするまで全然順風満帆ではなかった」と、振り返っていた。
 一昨年は新庄監督から「スター候補」と期待されながら、夏場に打撃不振で2軍降格のままシーズン終了。そんな挫折を乗り越えてきたからこそ、謙虚さを保ちながら取り組む姿勢は変わらないのだと感じた。

 そして、今年の万波はブレない。新外国人の長距離砲レイエスの存在について問われると「あまり気になっていない。かなり自分のことに集中している。シーズン通してみんなで活躍できたらいいなとは思いますけど、そこに対して以外にどう思ったりとかはあまりないですね」と、さらりと答えた。

 昨季までの万波なら「刺激になっています」というような返しが来そうだが、そこも成長か。周囲には影響されない一本の柱が形成された万波は、今年もやってくれるはずだ。
(記者コラム・清藤 駿太)

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