遊軍記者が見つけた2人のブレーク候補 広島・田村、DeNA・松尾の“強み”とは

[ 2024年2月25日 08:00 ]

<広島日南キャンプ>松坂氏(右)と言葉をかわす田村(撮影・平嶋 理子)
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 今まさに、さなぎから蝶になろうとしている。そんな選手を見つけるのも春季キャンプ取材の醍醐味だ。遊軍記者として宮崎、沖縄の各球団を回ったが、目にとまったのが2人の若手。広島・田村俊介外野手とDeNA・松尾汐恩捕手は今季、大きく飛躍する可能性を秘めている。

 20歳の田村は、愛工大名電から21年ドラフト4位で入団して3年目。既に昨季プロ初安打をマークし、3月6、7日の欧州代表との強化試合(京セラドーム)では侍ジャパンにも選出された。23日の中日とのオープン戦でも3安打。まさに「覚醒前夜」だが、取材をしていて思ったのは打撃だけでなく、思考が非常にスマートなことだ。

 スポニチ本紙評論家で、自身がキャスターを務める「報道ステーション」の取材で松坂大輔氏が田村をインタビューした。横で聞いていたのだが、自身の課題や強み、今後の課題などを明瞭に語っていく。20歳にして自分自身がよく見えているな、と感じた。無駄な力みや緊張がなく、笑顔も映える。そんなスマートさは、プロ野球で活躍するためには必要不可欠といえる。

 大阪桐蔭出身の松尾は言わずと知れた22年ドラフト1位。プロ2年目の19歳の打撃を見ていて、驚かされたのがスイングスピードの速さだ。19日に行われた実戦形式の打撃練習(ライブBP)。松尾は昨季16勝のエース左腕・東と対戦し、直球を捉えて左翼への大飛球を放った。強い横風に流されてファウルになったが、スイングスピードの速さが生み出した特大の飛球。登板後、東も「(松尾)汐恩が良かった。しっかりボールも見られて、スイング自体も強い」と絶賛したほどだ。

 対外試合でも打撃は絶好調。しかし本人は「バッティングは二の次。やっぱり一番はキャッチャーとして成長しないと」と、あくまで守備なども含めた捕手として勝負したいと言い切る。その向上心があれば、若者はどこまでも伸びる。田村と松尾。24年シーズンは、2人がブレークしたシーズンとして後に刻まれるに違いない。(記者コラム・鈴木 勝巳)

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