【選抜直前連載 光る君たちへ(1)】創志学園 岡山でも「名将」門馬監督の目指す野球はぶれない

[ 2024年1月24日 07:15 ]

練習を見守る創志学園・門馬監督 (撮影・後藤 大輝)
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 第96回選抜高校野球大会(3月18日から13日間、甲子園)の出場32校を決める選考委員会が26日に開かれる。吉報を待つ候補校を「光る君たちへ」と題して3回にわたって紹介する。初回は、7年ぶり4度目の出場を待つ創志学園(岡山)。東海大相模(神奈川)を甲子園春夏4度の優勝に導き、22年8月に就任した門馬敬治監督(54)の新たな挑戦に迫る。

 門馬監督が縁もゆかりもなかった岡山で吉報を待っている。「想像もしていなかった」と明かす母校以外での指導も今年で2度目の冬を迎えた。前任校は体調不良で21年夏に退任。その後、当時の創志学園・大橋博理事長(現総長)から「全力でお守りしますので思い切って勝負しましょう」と伝えられた監督就任の要請に心が動いた。「人間は弱い。誰かが支えてくれるかどうかは大事なこと」。22年8月、単身で岡山に来ることに決めた。

 指導方針は変わらない。「自分の師は原貢監督しかいないですから」。巨人前監督の原辰徳氏の父で東海大相模元監督である貢氏が掲げた「目標は全国制覇、目的は人間教育」を新天地でも実践。まずはあいさつから見直し、寮での規律も徹底させた。

 恩師の信条「攻撃は最大の防御」を改良した「アグレッシブ・ベースボール」も貫いている。守備練習では常に走者をつけるなど実戦を意識させ、攻守ともに積極性を植え付けてきた。就任から約1年で迎えた昨夏の初戦敗退をバネに昨秋は中国大会で準優勝。超攻撃的野球は早くも花開き、7年ぶりの選抜出場を確実にした。

 ただし、自身の考えが浸透したとは考えていない。だからミーティングを繰り返し、寮で選手とともに食事を取る。「言葉は願い。ミーティングで発する言葉を通して僕の本気を彼らに落とし込めるかの戦いです」。長沢宏行前監督に誘われて入学した2年生も巻き込み、積み上げてきた経験を伝え続けている。

 昨年末、神奈川の自宅に帰った際に家族に隠れて涙を流した。「みんながそろっただけでうれしくてね。また頑張ろうと思えた」。人知れず抱えてきた苦しみの先に、自身3年ぶりの聖地が待っている。 (河合 洋介)

 ◇門馬 敬治(もんま・けいじ)1969年(昭44)12月18日生まれ、神奈川県横浜市出身の54歳。東海大相模では、主将を務めた3年夏の神奈川大会で準優勝。東海大を経て、99年4月から2021年夏まで東海大相模の監督を務め、甲子園春夏4度の優勝に導く。22年8月から創志学園の監督。1メートル71、85キロ。右投げ右打ち。社会科教諭。

 ▽創志学園 1884年(明17)に志信裁縫黌として創立した男女共学の私立校。岡山城北女子、岡山女子、前身のベル学園を経て、2010年に改称して現校名。野球部は校名改称とともに10年4月に創部され、11年春の選抜に創部1年目で甲子園初出場。主なOBに西純矢(阪神)、草加勝(中日)ら。所在は岡山市北区。

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