阪神・森下、8回大逆転決勝三塁打 魂の一撃は左中間を真っ二つ「何とか食らいついて」悲願の頂点あと1勝

[ 2023年11月3日 05:15 ]

SMBC日本シリーズ2023第5戦   阪神6ー2オリックス ( 2023年11月2日    甲子園 )

日本シリーズ<神・オ(5)> 勝利が決まり喜ぶ森下(撮影・大森 寛明)
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 「SMBC日本シリーズ2023」は2日の第5戦で阪神がオリックスを逆転で破り、3勝2敗で1985年以来、38年ぶり2度目の日本一へ王手をかけた。1点差に迫った8回1死二、三塁で森下翔太外野手(23)が左中間へ殊勲の逆転三塁打。球団新人では日本シリーズ初の3試合連続打点へ伸ばした。本拠地・甲子園では今年最後の一戦を大逆転劇で飾り、あす4日の第6戦の舞台は京セラドームへ。悲願の頂点まで、あと1勝だ。

 魂の一撃が左中間を真っ二つに破る。無人の広野を白球が鋭く走った。興奮、感動、悲鳴――。甲子園球場は震えた。1―2の8回1死二、三塁、森下が大殊勲の逆転三塁打を放った。激走の末、三塁へ頭からド派手に滑り込み、豪快に拳でベースを叩いた。

 「最悪、内野ゴロでも1点を取れる場面。何とか同点に持っていくために、食らいついて頑張った」

 目の前で投手が山崎颯から宇田川に代わった。初対決の剛腕。投球練習中にはベンチに戻り、スコアラーや対戦経験のある大山、坂本らに情報をもらい、綿密に対策を練った。効果はてきめん。カウント2―2から2球、フォークをファウルで粘り、7球目、152キロの直球を鮮やかにすくい上げた。「フォークは(手を出す)高さだけ気を付けながら」。宇田川のウイニングショットを警戒していたからこそ、見逃せばボールだった低め直球にも反応できた。

 「エラーした後も(木浪)聖也さんとか、熊谷さんとかが声をかけてくれた。“おまえも声を出しておけば、必ずチャンスで(打席が)回ってくるから”って。本当にチャンスで来たので、集中した」

 汚名返上の快音だ。0―1で突入した勝負の7回。2死一塁から森の二ゴロを中野が後逸。カバーに入って素手での捕球を試みて、つかみ損ねた。この間に一塁走者・宗に生還を許して2点差。一度は場内が静まりかえった。敗色が濃くなり始めた8回。木浪、糸原、近本、中野…。先輩が意地とプライドをかけて演出した好機に応えた。

 「打点はシーズンが始まる前からずっとこだわってきた。一発勝負の短期決戦で、勝ちをもたらす点が取れたのは良かった」

 新人では日本シリーズ史上3人目の3試合連続打点へ伸ばした。東海大相模の大先輩でもある巨人・原辰徳が81年に成し遂げて以来の金字塔。「光栄なこと。これに満足せずにやっていきたい」。目指し続けた山の頂が目の前に迫る。第4戦は劇的サヨナラ、第5戦は大逆転で制し、完全に勢いに乗り、あす4日は第6戦の舞台・京セラドームへと乗り込む。

 「欲を出せば相手にのまれる。相手投手、誰が来るか分からないが、絶対にいい投手。基本に忠実にやる」

 土壇場でも変わることはない。信じる仲間と貫く、一戦必勝の精神。37年間待ちわびた美酒へ、あと1つだ。(八木 勇磨)

 ○…森下(神)が8回に逆転の2点三塁打。シリーズで新人の勝利打点は球団初。全体では10年第4戦の大島(中)以来11人、12度目で逆転のV打は森下が初めてだ。また、今シリーズでは第3、4戦に次ぐ3試合連続打点。ルーキーのシリーズ3試合連続打点は62年第3~6戦の岩下光一(東映=4試合)、81年第4~6戦の原辰徳(巨=3試合)に次ぎ42年ぶり3人目となった。なお、新人に限らず、1シリーズの最多連続試合打点は、前記岩下を含む12人が達成した4試合となっており明日の第6戦でタイ記録が懸かる。また、シリーズ5打点は阪神の新人では62年東映戦の藤井栄治に並んで最多。

 ○…阪神が8回に一挙6点を奪い、逆転勝ち。シリーズのイニング最多得点は63年西鉄第7戦の巨人9点(4回)で、阪神では14年ソフトバンク第1戦の5点(5回)を上回る球団最多。また、阪神の逆転勝ちは03年ダイエー第5戦(1点差)以来6度目。2点差以上の逆転勝ちは62年東映第1戦で4点差をひっくり返して以来61年ぶり2度目だ。なお、03年ダイエー第6戦から続いてた先制を許した試合での連敗も11で止まった。

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