「言葉の魔術師」仙台育英・須江航監督が涙 担当記者たちが予想不可能だった「名言」
鹿児島国体・高校野球硬式の部準決勝 仙台育英9―7北海 ( 2023年10月11日 平和リース )
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【鹿児島国体が2校優勝で閉幕】
今夏の甲子園で準優勝した仙台育英(宮城)は9―7で北海(北海道)に逆転勝ちし、11年ぶり2度目の優勝を果たした。昨夏に東北勢として初の甲子園大会優勝に貢献した3年生は全ての公式戦を終えた。降雨延期による影響で決勝は開催されず、準決勝2試合で優勝2校が決まった。
【記者コラム・高校野球の歴史を変えた仙台育英】
仙台育英の鹿児島国体が終わった。東北のアマチュア野球を担当する記者は万感の思いだった。昨夏、東北勢として初の甲子園大会優勝に貢献した3年生のラストゲーム。27個目のアウトを奪い、マウンド上で輪をつくり、歓喜する山田脩也主将(3年)を中心とするナイン。ベンチ前で涙をこらえきれない須江航監督。三塁側内野席で観戦した記者は昨夏、深紅の大優勝旗を乗せた新幹線に乗車し、ともに「白河の関」を越えたこともありジーンときた。そして、試合後の指揮官が発する「名言」に期待していた。
須江監督航監督は昨夏の甲子園大会の優勝インタビューで発した「青春って、すごく密なので」が、ユーキャン新語・流行語大賞の選考委員特別賞を受賞した。高校野球界でその「名言力」は屈指と、練習や県大会から取材している記者は知っている。
普段の取材でも「名言製造機」ぶりは変わらない。昨秋の新チーム始動時には「2回目の初優勝」とテーマを発表。夏の王者ながら、新チームとなった秋において、挑戦者の姿勢は不変という意思。これ以上なく短い言葉で表現していた。今秋の宮城県大会2回戦ではミスがありながらも東北に勝利。新チームが始動したばかりで、経験も力も不足しながら実戦で成長していく過程を「秋のミスって成長痛みたいなもの」と言った。野球を経験していない人でも共感できる「成長痛」というワードに、センスが輝いていた。
なぜ、人の心を動かす言葉を生み出せるのか。それは社会の変化を感じ取っているからだ。ネット社会となり、どんな情報も誰もが手軽に入手できる。須江監督は指揮官の役割が「技術指導」から「思考の交通整理」に変化したと分析した。だからこそ、理解しやすい短いワードで選手たちのかじ取りに励んでいる。チームが尊重すべき、ブレてはいけない指針を的確に伝えている。
須江監督が「青春って凄く密」の言葉を生み出した昨夏、私となじみの記者たちとの間である「ゲーム」が始まった。それは須江監督が発するであろう、次の名言を予想するというもの。難関度は「スーパーハード」。毎回、持ちうるボキャブラリを振り絞って候補をリストアップ。今大会では「開催地の偉人・西郷隆盛にちなんだモノじゃないか…」や「順延の影響で2校優勝になったことを巧みに絡めるのではないか…」などの予想が有力候補に挙がっていた。だが、努力の甲斐もむなしく、そのどれもが外れてしまった。
最終戦となった準決勝では北海に逆転勝利。雨天延期の影響で優勝校が2校となったが、最後はベンチ入りメンバーもマウンドに駆け、天を指さして喜びに浸った。東北、そして高校野球の歴史を変えた3年生が迎えたハッピーエンド。須江監督の目には涙が光っていた。
「今日は一体、どんな名言が飛び出すのか…」。期待に胸を膨らませて会見場に駆けた記者たち。口を開いた須江監督の言葉は驚くほどシンプルなものだった。
「本当に言葉がないです。それくらい、すばらしいなと思います」
「言葉の魔術師」が、最大の武器を捨て「サレンダー(降参)!」を宣言したのだった。今夏の決勝で慶応に敗れた試合後でも「人生は敗者復活戦」と自身の座右の銘で今後を見据えていた。その指揮官が「言葉がない」と言い切ったことは、記者にとって衝撃的なことだった。
「人生における喜び、彩りを与えてくれて、感謝しかない」
「この3年間、いろいろなことを葛藤しながら歩んできた。本当に多くの人の犠牲、我慢で成り立っていて、支えがあって、うれしいことも悲しいことも経験できる。それを忘れないでほしい」
記者からの質問に須江監督は応え続けた。それでも、いつも胸に刺さる「これだ!」と思える名言は生まれなかった。いや、既に名言は生まれていたのだろう。ナインの姿に、あの須江監督が「言葉がない」と心から白旗を揚げた。それこそが、一番の名言だったのではないだろうか。(記者コラム・柳内 遼平)
◇須江 航(すえ・わたる)1983年(昭58)4月9日生まれ、埼玉県出身の40歳。仙台育英では2年時から学生コーチで3年時に春夏の甲子園に出場。八戸大(現八戸学院大)でも学生コーチを務めた。06年から仙台育英の系列の秀光中の軟式野球部監督を務め、14年に全国大会優勝。18年1月から仙台育英の監督となり、今夏を含めて5度の甲子園出場に導く。情報科教諭。
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