佐野日大 美技で初4強つかんだ!延長10回、遊撃・竹村横っ跳び併殺

[ 2014年4月1日 05:30 ]

<明徳義塾・佐野日大>守備でチームを救った佐野日大の遊撃・竹村

第86回選抜高校野球大会準々決勝 佐野日大7―5明徳義塾

(3月31日 甲子園)
 準々決勝4試合が行われ、4強が出そろった。佐野日大(栃木)は明徳義塾(高知)を延長11回の末に7―5で下し、春夏通じて初の4強入り。10回の守備では竹村律生(りつき)内野手(2年)の美技でピンチを脱し、打線が11回に3安打を集中して勝ち越した。初出場の豊川(愛知)はインフルエンザでベンチ入りメンバー2選手を欠く中、昨秋の明治神宮大会優勝校、沖縄尚学を6―2で下した。1日は準決勝2試合が行われる。

 無我夢中だった。5―5の延長10回1死満塁。明徳義塾・森の打球は二遊間に飛んだ。遊撃手の竹村が横っ跳びでボールをつかむと、砂煙の先にあった二塁ベースを左足で踏んで、一塁へ送球。サヨナラ負けのピンチを併殺で脱し、笑顔で一塁ベンチに走った。

 「(守備で)魅せてやろうと思っていた。思った以上に打球が速くてやばいかなと思ったけど、跳んだら捕れたみたいな感じだった」

 1点もやれない、絶体絶命の場面。内野陣は前進守備を敷いた。初球はバックネットへのファウル。するとベンチから「中間守備」の指示が出た。「初球のスイングを見て監督さんがセンター方向に打球が飛ぶと感じたと思う。練習試合でも守備位置を動いたりしていたので、その意図を感じた」と、ベース寄りにポジションを変えた。そして2球目。思惑通りの打球が飛んできた。

 だが、松本弘司監督は苦笑いを浮かべた。無理もない。実は、初球から中間守備の指示を出していたが、大歓声にかき消されていた。指揮官は「相手の打力を考えて前進守備はリスクが高いと思った。中間守備が功を奏した」と胸をなで下ろした。

 尊敬する兄に少し、近づいた。竹村の兄・春樹(現明大野球部1年)は昨年、浦和学院(埼玉)の「1番・遊撃手」としてセンバツを制した。2回戦までは2番だったが、この日は今大会3試合目で初めて兄と同じ1番に座り、普段よりも指2本分短くバットを持って3安打。「1番を打ちたいと思っていた」とひそかに狙っていた打順だった。11回には投前に犠打を決め、決勝点につなげた。観戦した父・達矢さん(50)は「比べられて大変だと思いますけど、身近にいい手本がいるのはいいこと。兄弟でよく野球の話をしていますからね。打ち方も似てきました」と喜んだ。

 2試合連続の延長戦を制したチームは春夏通じて初の4強入り。竹村は「兄貴と同じ位置まで」と言った。頂点が見えてきた。

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