元中日ステアーズが決勝弾!フィリーズ王手

[ 2008年10月15日 06:00 ]

6回、代打で出場し右飛に倒れた田口

 【フィリーズ7―5ドジャース】フィリーズが伏兵の一発で王手をかけた。13日(日本時間14日)、ロサンゼルスでのドジャースとのリーグ優勝決定シリーズ第4戦で、中日にも在籍したマット・ステアーズ外野手(40)が8回に右越え決勝2ラン。相手の守護神から値千金の一発で対戦成績を3勝1敗とし、15日(日本時間16日)の第5戦で93年以来のワールドシリーズ進出をかける。

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 会見場に現れたステアーズは豪快に笑った。同点の8回2死一塁。代打で登場し、カウント1―3からの95マイル(約153キロ)直球を右翼席上段へ運んだ。公式戦わずか2被弾のド軍守護神ブロクストンから値千金の決勝弾だった。
 「私はシングル(単打)を狙ったりはしない。常にサク越えを狙っている。打撃練習からそうで、すべてホームランを狙ってどれだけ飛ぶか見ているんだ。これが楽しいから野球をやっている」
 ブルージェイズを8月下旬に解雇され、フィリーズに拾われた。メジャーでは11球団目の新天地でもアプローチは変わらなかった。ポストシーズンは00年アスレチックス時代以来の出場で自身初の本塁打。「選手生活で最高の代打本塁打だ」とまた笑った。
 中日に移籍した93年は6月途中の加入でわずか6本塁打。「文化の違いに戸惑い、余裕がなかった」と苦笑いするが「今でも日本のことは忘れていない」と話す。当時の主砲、落合(中日監督)も「いずれいい打者になる」と話していた長距離砲。主砲ハワードが「はまった時の飛距離は負けるかもしれない。年齢からは考えられない」というパワーを40歳になった今でも維持している。
 ド軍主砲ラミレスを初回1死二塁の場面で敬遠するなど、細心の采配をみせたマニエル監督も「この勝利は今までで一番大きい。次の試合はもっともっと大きいものになる」とうなずいた。ステアーズのような伏兵がヒーローになる。フ軍が完全に勢いをつかんだ。

 ◆マット・ステアーズ 1968年2月27日、カナダ生まれの40歳。88年ソウル五輪に出場し、89年エクスポズ入団。92年にメジャー昇格した。93年6月に中日に移籍、60試合で打率・250、6本塁打、23打点の成績を残した。95年レッドソックスでメジャー復帰。メジャー通算16年で計11球団を渡り歩いた。06年WBCカナダ代表。今季8月末にブルージェイズからフィリーズに移籍。メジャー通算は1662試合に出場、打率・266、254本塁打、866打点。1メートル75、95キロ、右投げ左打ち。

 ≪田口 「ツキがない」≫フィリーズの田口は同点の6回2死一、三塁から代打で登場し、浅い右飛に倒れた。「ピッチャーは外中心に攻めてくる」という読み通りの外角速球をバットの先に当て「あれだけ(強く)振れば、野手が突っ込んで来られない」と全力疾走。しかし、右翼手の好守で今ポストシーズン初安打はならなかった。「本当にツキがない」と苦笑いだったが、リーグ優勝にあと1勝。「どういう状況になっても基本的にはトーナメントをやっているようなもの」と表情を引き締めていた。

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2008年10月15日のニュース