【ラグビーW杯】大畑大介氏 鍵握るFW「バック5」の運動量 姫野、リーチらでサモアのハーフ団封じろ

[ 2023年9月28日 05:15 ]

ラグビーW杯フランス大会1次リーグD組   日本―サモア ( 2023年9月28日    トゥールーズ )

サモア戦に向けて調整する姫野(撮影・篠原岳夫)
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 【日本かく戦え 大畑大介 レジェンド展望】テストマッチのトライ数世界記録保持者で、日本人2人目のワールドラグビー殿堂入りを果たした大畑大介氏(47)が試合の見どころを語る「レジェンド展望」。ともに1勝1敗の勝ち点5で迎えるサモアとの一戦は、相手ハーフ団の動きをいかに封じるかが鍵を握ると分析。日本のロック、フランカー、No・8の「バック5」に着目した。

 日本の中10日に対してサモアは中5日で試合を迎える。2戦目のアルゼンチン戦は雨に加え、激しい肉弾戦だった。ぶつかり合いが得意なサモアとはいえ、その消耗度は激しく、ダメージは相当残るだろう。一方、日本は体を休め、頭も休め、対策も準備もできた。サモアはコンディションを整えることに重きを置くしかなく、日本対策を進めるのは極めて難しいだろう。日本はフレッシュな状態で戦える利点を最大限に生かしたい。

 サモアは個の能力が高く、経験豊富な選手が主要ポジションを固めている。要警戒はハーフ団だ。SOリアリーファノは前回W杯にオーストラリア代表として出場した選手で、卓越したゲームコントロールとマネジメント能力は一級品だ。SHタウマテイネは激しいタックルが持ち味で、攻守で流れを一変させることができる。この2人を意のままに動かさないこと。彼らを自由にさせると、流れは一気にサモアへ傾く。

 サモアの「個の能力」に対し日本は「組織力」で対抗したい。サモアのハーフ団はエリアを取るキックもうまい。ゴールラインに近づけば近づくほど勢いが出てくる。日本はこの2人に対しFW周辺から圧力をかけ続けること。近いところで体を当てにいき、プレッシャーをかけ続けること。No・8姫野、フランカーのリーチ、ラブスカフニの第3列の運動量と働きが重要になる。

 相手FWは直線的に前に出てくるのが特徴的だ。球技というより格闘技の要素も強く、当たり負けせず、いかに前に出ることができるか。献身的で運動量の多いコーネルセン、フィジカルが強く走力もあるファカタヴァの両ロックを含めた「バック5」の出来が勝敗に直結しそうだ。サモアは前に出るのは得意だが、後ろに下げられると、もろさも目立つ。SO松田のキックも効果的に絡めたい。

 イングランド戦からメンバー変更は2人。CTBライリーが先発復帰し、FBに今大会初先発のレメキが入った。イングランド戦ではスクラムが安定し、ディフェンスも一定の成果があった。試合ごとに組織としての成熟を感じる。チーム力は格段に上がっている。

 SO李が今大会初めてリザーブに入った。SH斎藤、CTB長田らとともにゲームを落ち着かせるというより、終盤にもう一段ギアを入れるという首脳陣のメッセージにも映る。4トライ以上を奪って勝つ、という強い思いがメンバー構成に表れていると思う。(元日本代表WTB)

 ◇大畑 大介(おおはた・だいすけ)1975年(昭50)11月11日生まれ、大阪市東淀川区出身の47歳。小3からラグビーを始め、東海大仰星―京産大を経て98年に神戸製鋼(現神戸)入社。02年12月にフランス1部リーグ移籍。03年に神鋼に復帰し、トップリーグ初代王者へ導く。W杯は99、03年大会に出場。テストマッチ通算69トライは世界記録。日本代表キャップ58。16年ワールドラグビー殿堂入り。現在は神戸アンバサダー。

 ≪姫野強気「ダブルタックルで封じ込める」≫No・8で先発する姫野主将も登録メンバー発表後の会見に臨み、フィジカルを強みとするサモアに対して「ダブルタックルでコリジョンを封じ込めることができる」と強気に話した。地元・豊田スタジアムで行われた前回19年大会のサモア戦では自らトライを奪ったこともあり「もちろん自信はある」と頼もしい。現在1勝1敗で、負ければ自力での1次リーグ突破がなくなる崖っ縁。「こういうシチュエーションも予想していたし、厳しい試合になることは分かっていた。準備してきたので自信がある」と言葉に力を込めた。

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