トップの速い決断で救える命が一杯あるで あの戦争の「悲劇」を繰り返したら絶対あかん

[ 2021年8月25日 08:00 ]

鳥内秀晃氏
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 【名将鳥内秀晃の人間話 頼むでホンマ】8月15日を「終戦の日」って言うやん。けど、オレからすると「敗戦の日」であって、いろんな意味で戦争はまだ終わってへんのよ。全国戦没者追悼式で、山東昭子参院議長が「当時の情景は、徐々におぼろげに」と言うてたけど、ちゃうやん。大正、戦前、戦後の歴史を通して、なぜあの戦争が起きたんかを学校でちゃんと教えたら、みんな忘れたりせえへんて。

 7月に「黒い雨訴訟」で国が上告せんってニュースもあったな。それはええねんけど、「戦乱の渦に巻き込まれた人たち」って菅首相が言うんなら、広島だけやなく、長崎、戦地になった沖縄、空襲で家が焼けたり、家族を亡くした人全員に、国は補償せなあかんのちゃう。そういう大事なことが解決してへんのに、「終戦」とは言えんわ。

 戦争といえば、昨年安倍首相(当時)がコロナ禍を戦時に例えてたやろ。国はオールジャパンで必死に戦わなあかんのに、全然できてへんわ。3月に、ある新聞社が感染症医療の戦略的体制を提言してて。「パンデミックでは病床を有事用に」「変異ウイルス監視で封じ込め」など7項目あって、一気に進めていかなあかんのに、何もできてへん。無症状の人が歩き回って、ウイルスをまき散らしてるわけやろ。学校とか駅に抗原検査のキットを置いといたらええねん。早期発見、早期治療が一番大事やで。

 そもそも、検査の陽性者と感染者は違うって、世間では認知されてんのかな。陽性判定でもウイルスが体内に入って、増殖せん限り、感染者ではないねん。陽性者のほとんどは無症状で、重症化するのは、お年寄りや疾患を持っているケースがほとんどやからな。

 とっくに医療は崩壊しとって、自宅放置してるやろ。これも自助でやれということかな。中川俊男日本医師会会長は「大災害級」の有事や言うてんねんから、コロナも今の2類指定から5類にすべきなんちゃう。そしたら、町の医院でも診てもらえるようになるやろ。予防にも治療にも効くと言われてるイベルメクチンを処方できるようにするとか、今までと違う対策を考えてほしいな。

 例年のインフルエンザ感染者は国内で年間約1000万人、死者も1万人くらい(厚生労働省発表)。コロナ禍になって1年半にもなるのに、まだインフルエンザより厳しい対応しとってええんかな、と思うわ。

 あの戦争当時、日本がもっと早く負けを認めとったら、失われずに済んだ命がいっぱいあったはずやねん。トップが速い決断を下したら、このコロナ禍でも、救える命がもっとあると思うわ。今こそ、公助が必要な時やで。頼むで、ホンマ。 (関西学院大アメリカンフットボール部前監督)

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