青学大「最弱世代」が超高速大会新で2年ぶり総合V!原監督「格好良い4年生でした」

[ 2020年1月4日 05:30 ]

第96回東京箱根間往復大学駅伝 復路 ( 2020年1月3日    神奈川・箱根町~東京・大手町 5区間、109・6キロ )

総合優勝を決め、選手に胴上げされる青学大・原晋監督
Photo By 代表撮影

 往路Vの青学大が復路2位ながら、総合10時間45分23秒の大会新で2年ぶり5度目の総合優勝を果たした。9区の神林勇太(3年)が区間賞の走りで、追いすがる東海大を引き離し、トップを一度も明け渡さなかった。大学駅伝無冠で“最弱世代”と呼ばれた4年生を中心に、昨年の東海大が打ち立てた大会記録を6分46秒も上回る超高速記録で覇権奪回。大会が始まって100年目の節目に、原晋監督(52)が掲げた「やっぱり大作戦」を完遂した。

 無冠で終わるわけにはいかなかった。「やっぱり青学大は強かった」と周囲に言わせるために命名された「やっぱり大作戦」。アンカーの湯原慶吾(2年)がトップでフィニッシュすると、原監督は「やっぱり指数500%で大成功です」と大成功を宣言し、5度宙を舞った。

 逃げる青学大、追う東海大。東海大の分厚い選手層を見れば、往路終了時の3分22秒差は決して安全圏ではなかった。8区では2分差まで詰め寄られたが、9区神林が「優勝を決定付ける走りをしなければいけない」と快走。再び3分42秒差まで広げ、勝利を確実にした。

 チーム崩壊の危機を乗り越えた。昨春、寮則破りなどが多発。これを契機に指導方針が厳しくなり、走力のあった4年生4人は反発して退部した。チームを引っ張るはずの最上級生の生活態度の乱れに、後輩たちからは「一緒にやりたくない」という声まで出ていたと、鈴木主将は振り返る。

 新体制は過去最弱と呼ばれ、原監督が「シード権が獲れるかどうかという世代」とこぼした。そこで突きつけられたのが「4年生がやらないのなら、3年生を中心に2年計画で立て直す」という究極の選択だった。最上級生はこの言葉に奮起し、結束。率先してゴミ出しや食事準備を行うなど生活態度を一変させ、自主練習では距離を意識的に増やした。実力的にはマネジャー候補だったという谷野、中村は記録を伸ばし、この日は6、7区で区間上位をキープ。最初で最後の箱根となった中村が「区間賞も狙えると思い、飛ばした。最低限の走りはできました」と胸を張ると、原監督は「格好良い4年生でした」と、最大級の賛辞を贈った。

 今回の優勝経験メンバーは6人残り、再び連勝街道への道筋はついた。鈴木主将は「下級生は4年の姿を見ているので、来年以降はそれが財産になる。問題児だった世代は卒業するので楽しみなチームになる」と冗談めかした。最弱世代が令和最初の箱根に残したものは、再度訪れるであろう黄金期の礎だった。

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