貴親方、理事選完敗！他一門の結束切り崩せず、わずか２票…

理事選に落選した貴乃花親方は警察官の厳重な警備のされた部屋に戻った
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　日本相撲協会の役員候補選挙は２日、東京・両国国技館で行われ、定数１０に対し１１人が立候補した理事候補選挙で貴乃花親方（元横綱）は落選した。全親方１０１人の投票で２票しか集められず、５期連続の当選はならなかった。自身への支持票を得られていない中で出馬に踏み切り選挙戦に持ち込んだが、他の一門の固い結束によりサプライズは起きなかった。

　投開票が行われた相撲教習所から出てきた貴乃花親方は、淡々としていた。「率直な気持ちは」「今の心境は」などの質問には無言を通した。いったん国技館内に入り、しばらくして電話をかけながら出てくると、厳しい表情に変わっていた。「結果をどう受け止めるか」と聞かれても、再び無言。そのまま車に乗り込んで国技館を後にした。

　自身も含め１０１人の親方から得られたのは、わずか２票だった。過去４回の選挙は、１０、１１、９、９票を得て理事となった。今回は過去の落選者よりも少ない票数で、記録的惨敗だった。だが、それも貴乃花親方にとっては想定内だった。

　元横綱・日馬富士の傷害事件で相撲協会への報告義務を怠ったとして、１月４日に史上初の理事解任となった。これを受け、貴乃花一門と無所属の錣山親方（元関脇・寺尾）らは、１期限定で阿武松親方（元関脇・益荒雄）を推すことを決めた。これを受け入れれば立候補者が１０人となり、不祥事続きの中、選挙なしで理事が決まる。「この状況で無投票は避けるべき」と強行出馬を決めた。

　当選するには他の一門からの票が必要だった。だが、八角理事長を擁立した高砂一門は投票前日の１日に会合を開いて票が流れることを阻止するなど万全を期していた。前回の選挙で連携した山響親方（元幕内・巌雄）が離れ、今回は「孤独な闘い」ともなった。それでも、貴乃花親方は自ら票集めに奔走することはなかった。部屋の公式サイトで「自由に意見を交わせる風土を作り上げることを私の目標といたしたい」などと立候補に至った理由をつづった。その叫びは他の一門の結束を崩すまでには至らなかった。

　相撲教習所長、審判部長、総合企画部長、巡業部長などを歴任して相撲協会の発展に寄与してきたが、次の職務分掌が決まる３月からは、部長の肩書はつかない。貴乃花一門から当選した阿武松親方は「貴乃花親方は大事な仲間、友人。一生懸命仕事をさせていただきたい」と神妙な表情で抱負を語った。順当なら２年後は再び、貴乃花親方が一門から理事候補として推される。初当選から約８年にわたって改革に着手してきた貴乃花親方が、厳しい結果を受け止めて充電期間に入る。