五輪経費3兆円超の可能性 都調査チーム、見直し提案 代替地開催を本格検討

[ 2016年9月29日 12:00 ]

 2020年東京五輪・パラリンピック開催費用などを検証する東京都の調査チームは29日、競技会場となる3施設について、建設中止を含めて抜本的に見直す案などを小池百合子知事に報告した。大会経費は推計として3兆円を超える可能性を指摘し、コスト削減を図るよう提案。小池知事は「しっかりと受け止めたい。最善の解決策を見つけていく」と述べ、代替地での開催が可能か本格的に検討する考えを示した。

 大会組織委員会は年内に予算計画を国際オリンピック委員会(IOC)に提出する予定で、見直しとなればスケジュールにも影響しそうだ。

 この日の「都政改革本部」の第2回会議で、都特別顧問の上山信一慶応大教授らの調査チームが報告書を公表。3施設の見直しのほか、仮設施設は都内会場を都負担とし、都外は地元自治体と国が分担するルール作りなどを求める内容だ。

 調査対象としたのは、都が整備する会場のうち、先行して建物の実施設計に入っているボートとカヌー・スプリント会場「海の森水上競技場」、バレーボール会場「有明アリーナ」、水泳会場「五輪水泳センター」。

 報告書では代替地の候補として、ボートとカヌー・スプリントは宮城県登米市の「長沼ボート場」、水泳は江東区の「東京辰巳国際水泳場」、バレーボールは横浜市の「パシフィコ横浜」などの展示場・アリーナを挙げている。

 これらの既存施設の改修や仮設施設の建設で対応できないか検討した上で、仮に現在の予定地で建設する場合でも、過剰な座席数を減らし、仮設施設としたり、規模を縮小したりして費用を抑えることを提案。「(都側が)競技団体の要請や時間的制約で、他の場所への立地や既存施設改修の代替案に関する調査が不十分だった」としている。

 また都が拠出した資金の割合が97・5%に上り、赤字が出た際に補?することになっている組織委への監督や指導をできるようにするための協定を結ぶ必要性にも言及。

 大会に向けた全体の予算管理者が不在で非効率だとして、予算上限を設定し、都と国、またはいずれかが開催計画や人員を一元的に管理することも求めている。

続きを表示

2016年9月29日のニュース