松本薫 計算された組み手が乱れた準決勝 それでも集中切らさず

[ 2016年8月9日 09:37 ]

<柔道>銅メダルを決めるも、うなだれる松本

 【金野潤の目】4年前の松本は体が勝手に動いている、という感じだったが、この日はしっかり相手の対策を練り、計算された組み手を展開していた。ふわふわしている感じもなく、試合にきっちり集中できてもいたと思う。だが、準決勝でたった1度だけ、その組み手を間違った。松本の右手、つまり釣り手を持てないうちに、ドルジスレンの強烈な背負い投げを受けたシーンだ。

 準決勝前には長いブレークがあるが、その後のファーストコンタクトでの過ちが勝負を分けるのだから、やはり試合は怖い。ただし、直後に行われた3位決定戦できっちり勝ち切ったのは、28歳の精神的成長のたまものだろう。また、以前なら「金以外は負け」と気持ちが切れている選手もいたが、今大会の日本はすべての階級でメダルを獲得し続けている。これは現在の強化スタッフが「メダルの重み」を理解し、価値観を共有できている証拠だと思う。(94、97年全日本選手権者、日大男子監督、文理学部准教授)

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