【谷沢英彦の目】世代交代を感じさせた錦織のスピード

[ 2015年8月16日 07:45 ]

ナダルとの準々決勝でリターンをする錦織(カナディアンプレス提供・AP)

ロジャーズ杯男子シングルス準々決勝 錦織 6―2、6―4 ナダル

(8月14日 カナダ・モントリオール)
 錦織があれほど攻撃的にくるとはナダルは予想していなかっただろう。ラリー戦だけでなく、リターンからストレートにひっぱたかれ、より厳しいところ、いいところを狙おうとしてダブルフォールトを重ねていった。

 錦織のバックのリターンを警戒し、分かりきったコースに打たず、あえて錦織のフォアにサーブを打つことも多かった。第2セットの第3ゲームではそれでダブルフォールトを犯し、ブレークを許した。錦織のリターンを脅威に感じ、意識しすぎるあまりに自滅していった印象だ。

 錦織もナダルを十分に意識していた。どちらかといえば相手にプレーをさせておいて、大事なところでギアを上げていくタイプ。それがこの日は最初から飛ばした。ポジションを前に取り、スイングスピードも普段が80%とするなら100~120%。ラケットを振り切るのはミスのリスクもあるが、抑えめにして入れにいくことを全く考えず、思い切ってボールをひっぱたいていた。相手がナダルだからこそ序盤からギア全開だった。

 ナダルがまだ本調子でないのもあるが、万全であっても結果はどうだろう。彼のプレー自体が、現在のテニスのスピード感からすると一世代前のものになっている。錦織のようにスピードにあふれた最先端のプレーをされると、なすすべがない。そういう意味では世代交代を感じさせる試合でもあった。(元デ杯日本代表、テニス解説者)

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2015年8月16日のニュース